・サラリーマンスザク→歌手ルル
・ルルはほとんど出てきません^^;
・槇/原/敬/之の「僕の今いる夜は」からイメージ&一部引用
これでもよろしければ!
僕が今いる夜は
「はあ、疲れた。」
帰宅の第一声を“ただいま”ではなく、大きなため息に代えたスザクは面倒くさそうに革靴を脱ぐと、揃えることもせず部屋の中へと入った。
電気を点けようとしたが、スイッチを押しても点かない。
カチカチカチ。
「アレ?故障?勘弁してよ~。」
カチカチカチカチ。
悪あがきで何度も押してみるが無駄なようだ。
他の住人はどうしているのだろうかと、窓を開けて首を突き出しながら辺りを見回すが、皆電気を点けている。
「え~。僕だけ?」
どうせなら一人ではなく皆で被害に遭いたかったと若干物騒なことを考えていたが、ふと電気料金を払い忘れていたことに気がついた。
慌てて冷蔵庫に貼り付けてある請求書を、窓から零れる外の明りを頼りに見ると、支払い期限は昨日だった。SEとして働くスザクはお金がないわけではないのだが、忙しすぎて時間がない。コンビニで支払う余裕もなく、つい3カ月も溜めてしまった結果だった。
「引き落としに変えておけばよかった。」
しかしその手続きも面倒臭いと放っておいたので、後悔しても遅い。
いつもは寝るためだけに帰ってくる家なのだが、こんな日に限って少しだけだが早く帰ってきたのだ。しかしいくら早いと言っても22時を過ぎているので電力会社に連絡がとれるとは思えない。
ここは男らしくあきらめるんだと、到底諦めたとは思えない深いため息を吐いて、昔の彼女がキッチンに置いていったキャンドルに火を点けた。
優しい光にぼんやりと照らされた部屋は、その明りに相応しくなくとても汚い。
色々な物が散らかった乱雑な部屋の真ん中に座りこむと、スザクは急に手持無沙汰になった。電気がなければパソコンもテレビもつかない。
隣人は留守にしているらしく、遠くに電車の音が微かに聞こえるだけの静かな空間に少し動揺した。この夜の中自分だけ取り残されたような孤独な気持になった。
「一人の方が気楽でいいんだよ。」
とあれだけ言っていたのに。
静けさに自分の怠慢さを無言で責められているような気がしたスザクは、この音のない世界に耐えられなくなり、MP3についているラジオを起動させた。
誰でもいいから、この時間を共有したかった。
自分は一人ではないと信じたかった。
周波数を合わせ、流れてきた人の声に妙に安心した。
何となく合わせたチャンネルはちょうどリスナーからのリクエスト曲を流す所だった。
“じゃあ次は、三つ編み愛好会さんからのリクエストで、ルルーシュ・ランペールの曲いきま~す!ブリタニアで流星の如く突如として現れたルルーシュは、3年間ブリタニアンチャートを独占し続けるという偉業を成した、日本でも大人気の歌手!孤独な思いを抱えたあなたにぴったりの曲よ!癒されること間違いなし!”
自分の状況を見透かされたような言葉に思わずドキリとした。
そして流れてきた歌に、声に、スザクは知らないうちに涙を零していた。
艶やかなテノールの声がスザクの心に優しくそっと触れるように満たしていく。
目に見えないけれど想いを乗せた美しい歌が部屋を飛びまわっているように感じた。
はっとした時には歌は終わっていた。
「凄く綺麗な歌だったな・・・。えっと、確かルルーシュ・ランぺルージだったっけ?」
仕事ばかりしているスザクは流行りなどには疎いため、全く知らなかった。
けれど今日、スザクの脳裏に強く彼の歌声と共にルルーシュの名前は刻み込まれた。
「明日CD屋さん行ってこよう。」
たまには息抜きしたっていいだろう。
そう息を吐いたスザクは先程までの鬱々とした気持ちがすっかりなくなっていた。
まるでルルーシュの歌がマイナスな気持を吸い取ってくれたようだ。
胸の軽さに気がついたスザクはクスリと笑った。
あのラジオを聞いていた誰かも僕と同じ気持ちを抱えていたのかもしれない。
もしかしたらリクエストした人もルルーシュの曲に癒されたのかもしれない。
そう思えたら、急に世界と自分の繋がりを感じた。
「あんな綺麗な歌を歌う人はどんな人なのかな。」
明日が楽しみだと、スザクは頬笑みながら目を閉じた。
僕の今いる夜は孤独な夜なんかじゃない
誰かがどこかで誰かを想う優しい夜なんだ。
ともきはラジオの使い方がわかりません(/_;)
この後スザクさんはルルーシュの熱狂的なファンになり、
きっと日本公演の時に偶然出会って恋に落ちちゃうんだよ!(←)
この後スザクさんはルルーシュの熱狂的なファンになり、
きっと日本公演の時に偶然出会って恋に落ちちゃうんだよ!(←)
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