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ルルへの愛を語ったり 日々のことを綴るともきの日記
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今日H様から頂いたメールが何だか凄く嬉しかったので、メールを題にお話を書いてみました。


・中編「愛に形はないけれど」の 元不良スザク×耳が聞こえないルルーシュ の番外編


・本編よりもずっと先の、くっつきかけの二人のお話です。


・先すぎてともきもちょっと設定に不安があるので、後々本編と違う所が出てきてしまうかもしれませんが、そこら辺は生ぬるくスルーして頂けると助かります<(_ _)>


こんないい加減な感じでもよろしければ!

に形はないけれど 番外編
~aigakikoeru~
 
 
 
 
 
 
ルルーシュは最近買ったばかりの携帯が気になってたまらない。
今まで無くても何の問題もなかったのに、今ではこの小さな黒い通信手段が無ければ生活できないのではないだろうかとさえ思うようになっていた。
こんなのまるで新しい玩具を与えられた幼い子どものようではないか。
冷静な自分が呆れてそう呟いているが、そうそういつも理性ばかり働かせて生きてもいられない。いくら大人びているといってもルルーシュもまだたった17歳なのだから。
 
(「もうそろそろか。」)
 
そわそわと時計を確かめたルルーシュがそう思ったちょうどその時、携帯の先端が緑色に点滅し、メールの着信を教えてくれた。
慌てて見るのは何だか癪でわざと一つ深呼吸をしてから、誰が見ているわけでもないのにゆっくりとした動作で携帯を手にとる。
差出人はルルーシュが(本人は認めないが)待ち侘びていたその人。
 
(「やっぱりスザクだ。」)
 
その名前を見ただけで知らないうちに口角が上がり、頬笑みが零れる。
スザクからのメールには大したことは書かれていない。
ルルーシュにさようならと言ってから今の時間までのたった数時間のことを箇条書きで並べられているだけだ。
例えば今日などは、
 
『夕飯、グラタン食べた。リヴァルがエロ本を貸してくれるって言ってきたけど、断った。』
 
『談話室でルルーシュのことを噂している奴がいたからシメておいた。』
 
『数学の宿題が終わらない。扇は禿げろと心底思う。』
 
などなど。
 
少し特殊な環境で育ったルルーシュは未だに世俗のことはあまりよくわからない。
だからスザクの送るメールの内容も正確に理解しているとは言い難い。
例えば先程のメールは、
 
(「エロ本?エロ本って何だ?E・R・O、何かの機関の略か?スザクは熱心に勉強をしているんだな。」)
 
と間違った方向で大真面目に考えているし、
 
(「俺の噂なんて碌なもんじゃない、放っておいたっていいのに。スザクは正義感が強いから。」)
 
実際はルルーシュの無自覚に醸し出ている色気について熱く語っていた男子生徒が気に食わなくてスザクが一方的にボッコボコにしただけなのだが、ルルーシュは大いに勘違いしている。
 
(「数学ならいつでも教えてやるのに。扇?ああ、あの変な髪型の教師か。」)
 
などなど。
 
相互理解はあまり成り立っていないようだが、そんなことさえも二人にとっては些末なことだった。
スザクは一人で暮らしているルルーシュが寂しくないようにと、慣れないメールを作成してはせっせと送っていたし、ルルーシュはそんなスザクの優しさが嬉しかったのだから。
 
ルルーシュはまだまだ真新しい携帯を既に自分の物にしているらしく、素早く文字を打っていく。
 
 
『グラタン、好きなのか?
俺はまだ夕飯食べてないが、材料はありそうだから作ってもいいかもしれないな。
エロ本は俺も興味がある。今度リヴァルに借りてみるか。
俺のことはいいから、暴力はほどほどに。
明日わからない所教えてやるから、教科書持ってこい。』
 
 
そこまで打つと、ルルーシュはふと首を傾げた。
メールでの遣り取りはいつが終わりなのかがイマイチわからない。
文末に挨拶を入れたら終わりになるのだろうか。
そうだとしたら、このメールの終わりには『おやすみ』を入れて、スザクを休ませてやるのがいいのだろうか。
それまでの滑らかさが嘘のように数分間指を止めて悩んだルルーシュは、結局何も付け足さずにそのまま送信ボタンを押した。
返事はすぐに返ってきた。
 
 
『グラタン今度俺にも作って。
食べにいくから。
ルルーシュはエロ本なんて見なくてもいいよ。
全部俺が教えてやるから。
数学は明日教えて。』
 
 
そんな遣り取りをいくつも重ねて、気がつけば一時間が経っていた。
明日も学校があるしそろそろ止めにしなければ、そう思うのだけど、終わりのきっかけをどうしても作れないでいた。終わってしまうのが、嫌だったのだ。
返信のスピードが僅かに遅くなってきたことに気がついたのだろう、それはスザクからだった。
 
 
『じゃあ、また明日。
 おやすみ。』
 
 
『おやすみ。』
 
 
最後の四文字を打ち終えパタンと携帯を閉じて手のひらに握りこむと、いつの間にか熱くなっていた本体からじんわりと熱が伝わってきた。
まるで先日のスザクの手のぬくもりのようだと思ったら、淋しい気持ちが僅かに紛れた。
不思議な話だと思う。
あの全てを失った日、もう二度と人と関わることはないだろうと思っていたのに、何も感じずに生きていこうと決めたのに、今はどうだ。
こんなにも胸が締め付けられるように痛んで、切ない。
しかしこれも生きている痛みなのだ。
それが不思議で仕方がない。
スザクと居ると、本当に『生きて』いるのだ。
 
 
ベッドに突っ伏してぼんやりとしていると、手の中の携帯が震えた。
うっすらと開けた紫色の瞳に映ったのは緑に点滅するランプ。
パッと身を起こし、携帯を開くとたった一言が添えてあった。
 
 
『良い夢を。』
 
 
ルルーシュは不覚にも瞳が潤むのを感じた。
何でスザクはいつも欲しい言葉をくれるんだろう。
あの日のことを夢に見て魘されるのが怖いなんて、一度も言ったこともないのに。
何も知らないのに、全てを知っているように言葉を与えてくれる。
 
もう二度とこの耳に音が届くことはないけれど、今確かに聞こえてくる。
音も形もないけれど、確かにその愛が聞こえてくる。
 
ルルーシュは聞こえるはずのない耳に携帯を当て、そっと呟いた。
 
 
『ありがとう』
 
 
 
人前では決して喋ろうとしないルルーシュがその言葉を直接スザクに伝えるようになるまでは先の未来だが、鈍いルルーシュもスザクに抱く気持ちに気がつくまではあと少し。
 



に形はないけれど 
番外編
~aigakikoeru~
The End





たった一言で嬉しくなったり悲しくなったり、人はとても単純で、
だけどだからこそ愛おしいのだと思います^_^
伝えられるツールを持っているなら、上手に使いたいものですね。

 
    
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