アンケートも大分票がたまってきました。
ありがとうございます(*^_^*)
更新については「何でもいいから多い方がいいよ!」と「短くてもOK」と仰って下さる方が多いので、とても励まされています!
ということで(?)
・ゼロレク後
・ナナリー厳しめ
・ナナリーには救いなし
※残虐表現あり
このサイトにいつも来て下さっている方は大丈夫だと思いますが、相変わらず酷いです!
うっかり読んでしまうと、ともきにSATUIが湧いてしまうことが予想されます。
少しでもダメそうだと思った時点で引き返して頂くよう、お願い致します<(_ _)>
残酷な話をしましょう
とても とても残酷な・・・
「ゼロ、ずっとお聞きしたかったことがあります」
「何でしょうか」
ベッドに横たわる仮面の男にナナリーは随分と長い間胸の奥にしまってきた問いを蚊の鳴くような微かな声で発した。
「あの日、ルルーシュ皇帝の遺体を辱めることを許したのは、貴方の判断でしたか?それとも・・・お兄様の願いだったのでしょうか?」
震える声に尋ねられたゼロは仮面の中で翠の瞳を細めた。
あの日。
それはもう“歴史”と称されてしまうほど昔のこと。
突き刺すように感じた激しい痛みも、焼けつくような後悔も、濁流のような悲しみもいつの間にか時の流れに癒された。
今ゼロの胸の中にあるのは穏やかな想いだ。もうすぐ、彼との再会の日が来るのだと感じているからだろう。いつまでも軽くなることのないこの仮面を脱ぎ去り、重たい肉体から脱し、彼と再び出逢うのを純粋に望んでいる。
そうして頭の中に描くのは、唯一覚えている彼の微笑み。人は忘れていく生き物だ。そしてゼロもまた人という生き物であったから、当時の苛烈なまでの記憶も時と共に薄れていき、いつしか彼の事も上手く思い出せなくなっていった。けれどあの微笑みだけは焼き付いていた。
うっすらと純紫の瞳を愛おしそうに細めて、形の良い薄い唇が弧を描く。光の中に溶けてしまいそうに、とびきり幸せそうであどけないような微笑み。
その優しい記憶があるからゼロは今までやってこられたといっても過言ではない。
ナナリーの顔を見つめたゼロは、遠い記憶の海をゆったりと泳ぎながら口を開いた。
もう真実を明らかにしてもいいだろうと思ったのだ。
彼は怒るかもしれないが、彼女を遺して逝く身としては一つくらい憂いを払ってやるべきだ。
「彼の望みであり、計画の一つだった。私は反対したが、悪逆皇帝の最期にアレが最も相応しいと」
ゼロの仮面を被りながら『枢木スザク』としての記憶を話すことに不思議な感覚を覚えながら、スザクは目蓋を閉じ、あの日のことを思い出していた。
THE CRUEL STORY
前編
あの日。
雲ひとつなく澄み渡った美しい青空の下で悪逆皇帝はゼロに弑逆された。
子ども向けの童話はそこで物語は終わりハッピーエンドになるが、現実はそうではなかった。目を背けたくなるような残酷なショーが待っていたのだ。
ルルーシュが息絶えると、悪逆皇帝の呪縛から解き放たれた民衆はその美しい亡骸を引きずり落とした。泣き叫び兄の遺体へ手を伸ばすナナリーを保護したのは、他でもないゼロであった。兄のほっそりとした腕とは違う逞しさを感じる腕に力強く抱き締められながら、ナナリーは絶叫した。
アスファルトの道路へ落とされた遺体に群がった民衆は誰もがその瞳に異常な興奮と狂気を宿しながら、無我夢中に悪逆皇帝の身体を辱めた。
ミルク色の肌は最早どこにも見当たらず、輝いていた純紫の瞳は抉られ、艶やかな黒髪は無残に散らばっていった。
人の形を留めない程にグシャグシャにされていく兄の亡骸に、ナナリーは座り込んだままただ茫然と見つめることしかできなかった。
こんな残酷なことが現実であることを認めたくなくて、勝手に溢れる涙で歪む視界の中ひたすら兄であったモノを見ていた。
早く目を覚ましたかった。
目が覚めれば、きっとそこには優しいぬくもりがあるはずだ。例え闇に閉ざされた世界であろうとあのぬくもりが、あの声があれば幸せだった。他には何もいらなかった。
けれどいつまで経っても目は覚めなかった。
開いた薄紫の瞳には目の前の凶行が映し出され、脳裏に刻みつけていく。
どれだけの時間が経ったのだろう。
気が付けばゼロは消え、コーネリアに抱き締められていた。
そうして兄の姿はどこにも無くなっていた。あるのは千切れた服と彼の『欠片』。
「お兄さまぁぁぁぁああああああ!!」
叫んでも何も変わらないことなど知っているのに、叫ばずにはいられなかった。
せめて兄の欠片を集めに這いつくばってでも行こうとしたが、コーネリアに阻まれる。
「離して!離しなさい!!お兄様が・・・お兄様ぁ!!」
手を伸ばした先に黒衣の男が現れた。
英雄の姿を見た群衆は息を荒くしながらも瞳を輝かせ、ざっと道を開けた。
その男が誰であるか知っているナナリーは僅かにほっとして力を抜いた。
彼ならば兄を守ってくれるだろう。
数刻前にその命を奪っておきながらそんなことを思うのはおかしいかもしれないが、彼が憎しみだけで兄を殺したわけではないことをナナリーは理解していた。
しかし。
「えっ・・・?」
ゼロはマントを大仰に払うと、手袋に包まれた手から火を放った。
後編へ続く
※これでもともきはルルーシュ至上です^^;