・スザクとルル猫シリーズ
・すれ違い編の続き
・別名「復讐のロロナナ編 ~忘れない、あの日に知ったフローリングの味~」
アンケートのルル猫の怒涛の追い上げに吃驚していますw
携帯からは改行が見づらいです<(_ _)>
スザクとルル猫 ~帰宅編~
「じゃあ、帰るから。」
ルルーシュをしっかりと腕に抱きしめたスザクは扉の外で待っていたジノにあっさりと告げ、玄関へと向かおうとした。
しかし次の瞬間、そんな無礼は許さないとばかりにルルーシュにガブリと腕を噛まれた。痛い!と悲鳴を上げたスザクだったが、そんな痛みすら愛おしいとばかりに目元を和らげる。
「ルルーシュがそう言うなら仕方ないなぁ。」
チョコレートフェアーの催事場よりもよほど甘い、胸やけを催すような特濃の甘すぎる空気を作りながらルルーシュの宝石のように美しい紫色の瞳とデレデレと見つめ合ったスザクは、渋々ジノに向き合った。
「こんな可愛い子を貸してあげたんだから、本来なら僕がお礼を言われたっていいと思うんだけど、ルルーシュが言えっていうから。・・・ありがとう。僕もルルーシュも世話になったよ、と言えないこともないかな。」
「・・・どういたしまして。」
何だか急にどっと疲れたジノは何とかそれだけ言うことができた。
胸を張るスザクの中で、ルルーシュがすまなさそうな視線を送ってきたのが唯一の救いだ。
さていよいよ待ちに待った二人の家に帰ろうとした所で、思いがけない難題がスザクの前に現れた。
それは・・・。
「痛い!!痛いよ!!」
止めてくれと突然叫び声を上げたスザクの足元には、ルルーシュの弟ロロと妹ナナリーが可愛らしい顔を動物の本能むき出しの獰猛な表情で染めていた。ルルーシュよりも遥かに鋭い牙が、一切の手加減なしにスザクの足の指とふくらはぎの柔らかい皮膚に食い込んでいる。
「ほ、本当に痛い!!」
緑の目にうっすらと涙の膜が浮き出ている。
どんなに痛くてもルルーシュをしっかりとかつ柔らかく抱きしめている点だけは褒められるが、その苦悶に歪む顔はまったく情けなく、クラスメートには絶対に見せられないものだった。
ルルーシュはオロオロとスザクの顔と弟妹の顔に視線を何度も往復させて、ジノはそんな四人の様子に笑いを堪え切れず腹を抱えて笑っている。
「な、何だい・・・?」
ルルーシュの弟妹なので粗雑に扱うわけにもいかず、涙を呑んで極めて紳士的に問いかけたスザクだったが、その努力はハンと二匹に鼻で哂われた。
(何だいだって?ですって?白々しい!兄さんが、お兄様が、どれだけ辛い思いをしたと思っているんだ、ですの?この鈍いくるくるパーマ!!)
そんな声が聞こえてきたのは決して気のせいではないと思う。
「とりあえず、放してもらえないかな・・・?そろそろ流血事件になりそうだ。」
というよりもすでにロロが噛んだ所からは派手に血が流れ出している。
威嚇を続ける二匹を責めるわけにもいかず、スザクはひいひいと呼吸困難になりそうなくらい笑っているジノを思い切り睨みつけた。
「ジノ。何とかしろ。」
その一睨みで百獣の王ですら気絶させてしまえそうな壮絶な念が篭った視線を受けたジノは慌てて笑いを止めた。しかし、実際は百獣の王どころか手のひらに乗ってしまうような小さな猫相手に悲鳴を上げているのだと思ったら、ジノは再びぶっと吹き出した。
いよいよジノを締め上げようとしたスザクに気がついたのか、ロロとナナリーは一度牙を抜くと、今度はより勢い良く噛みついた。
その威力がどれくらいだったかと言うと、公園に散歩に出たルルーシュのしなやかな身体に触れようとした中年男の前で鉄棒をぐにゃりと笑顔で曲げるようなスザクが近所中に響き渡るくらいの絶叫を上げるくらいのものだった。
「ぎゃ~~~~!!!」
スザクの悲鳴に反応したらしい犬の遠吠えがヲオォォンと遠くから聞こえてきた。
居心地悪そうに尻尾を揺らすルルーシュを真ん中にして両脇に阿修羅像のように厳しく睨みつけるロロとナナリーの前で、その後数十分に渡りスザクは土下座をする羽目になった。
ちなみにロロはそれでも気に入らなかったらしく、冷たい床に額を擦りつけるスザクの頭の上に乗り上げて、どこかの誰かのような高笑いにも聞こえる猫らしからぬ鳴き声を上げたそうな。
ルルーシュの心を傷つけた代償で、スザクは散々フローリングの味を味わったのだった。
にゃあああん。
((兄さんを、お兄様を、傷つけてただで済むだんなんて思わないことだね、ですわ。))
ちなみに翌日スザクは初めて腰痛というものを経験し、ジノは笑いすぎて腹筋を痛めた。
もしコピー本をルル猫で作ったら、お花見編はそちらに収納しようかな?と考え中。
でもまたシリアス風味なんだぜ☆
それでもいいのかな・・・?
でもまたシリアス風味なんだぜ☆
それでもいいのかな・・・?
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