・ルル死ネタ
・後悔するスザクさん
・現代スザ→←ルル リーマンスザクさん
・王道を極める展開
・正確ではない病気・症状表現
なかなか萌えポイントまで進まない・・・。
本当は今日このお話をメインに収納しようとしたのですが、
一体どこに仕舞えばいいのかわからなくて断念Orz
長くてごめんなさい!(汗)
許してやんよ!という方はどうぞ<(_ _)>
Hey・・・4
「それにしてもこの部屋っていうか病棟、凄いね。ホテルみたい。」
まるで青春を再び味わうような胸をキュウと締め付けるような熱を悟られまいと、スザクは当たり障りのない話題を選んだ。
するとルルーシュは苦笑した。
「ナナリー、俺の妹だが、どうしてもと言うからな。俺は普通の部屋でいいと言ったんだが、『お兄様は働きすぎですからこんな時くらいゆっくりして下さい』と言ってきかなくてな。勿体ないと説得しようとしたら今度は『お兄様が稼いだお金なんですから、たまにはご自分のためにお使いになって下さい。』と。最終的には涙まで出されてしまっては頷くしかないだろう。」
僅かに掠れた声で、しかし先程よりは滑らかな言葉にスザクはさもありなんと首を縦に振った。
スザクは一度もルルーシュが溺愛している妹に会ったことはなかったが、学生時代はほぼ毎日いかに彼女が可愛らしいかをこと細かに聞かされていたので、もう他人とは思えない。世界で一番大切にしている妹に泣きつかれては、頑固なルルーシュもたまらないだろうと思わず笑みを零して頷いてしまった。
「そうなんだ、君たちは相変わらずなんだね。仲が良くて羨ましいよ。」
一人っ子のスザクには親密な兄妹の関係が羨ましくもあり、またルルーシュの愛情を一身に受けるナナリーがほんの少し妬ましくもあった。
自分などはこうして会うことさえ儘ならないのに。
「まあな。でもナナリーももう子どもではないと思い知るよ。一年前に結婚したんだ。」
どこか拗ねるように幼い表情をしたルルーシュの言葉にスザクは目を見開いた。
「そうなの!?知らなかった。っていうかよく許したね、どんな人?」
「ふふっ、誰だと思う?お前も知ってる奴だぞ。」
「え~、誰だろう。」
二人の共通の友人といえば高校時代の友達だろう。しかもルルーシュが宝物のような妹の結婚相手として認める人物などごく限られている。
顎に人差し指を当てながら頭の中に人物の写真を並べていたスザクは、もしかしてと口を開く。
「・・・リヴァル・・・?」
悪戯っぽい光をチラつかせた紫の瞳を細めてルルーシュは笑った。
「正解。」
「ええ!?本当!?信じられない。いや、別にリヴァルに不満があるわけじゃないんだけどさ、意外っていうか、何ていうか。」
漠然と感じる驚きを表す上手い表現が見つからず、スザクはごにょごにょと濁した。
「本当はお前がナナリーと結婚してくれないものかと思っていたのだが、お前は忙しくてちっとも会えなかったからな、諦めたんだ。どうしたものかと思案しているうちに、いつの間にか二人は付きあっていたんだ。俺はちっとも気がつかなくて、リヴァルに『妹さんを下さい。』と言われた時は思わずカレンダーを見たよ。エイプリルフールなんじゃないかと思ってな。」
前半にサラリと言われた言葉にぎょっとした。
ナナリーの相手候補に選んで貰えていたということは、ルルーシュの中のスザクへと向けられる信用は計り知れないほど深いのだろう。そのことにくすぐったいような喜びを感じると同時に、ルルーシュ自身と付き合える可能性がほぼ0パーセントのような気もして、奈落に落とされたように気分が落ち込む。
しかしそれをルルーシュに気付かれるわけにはいかなかった。
「ナナリーは今幸せ?」
何気ない問いに、ルルーシュは至福に満ちた微笑みをその白い顔に浮かべた。
「ああ。もう兄の役目は終わったな。何も心配いらない。」
よかったと吐息を吐いたルルーシュの眼差しはどこを見ているのか、とても遠かった。
「良かったね。じゃあ今度はルルーシュが幸せになる番だ。」
僕が幸せにするから、もう少し待っていてね。
心の中で誓うように呟いた。
真っすぐな緑色の視線を受けたルルーシュは黙って微笑んだ。
「そういうスザクはどうなんだ?」
「僕?僕は全然だよ。仕事が恋人ってベタな言い方だけど、本当にそんな感じ。そうじゃなかったらもってルルーシュと遊んでたよ。」
「仕事もいいけど、ほどほどにしろよ。いくら体力馬鹿と言っても限界があるんだからな。」
「ありがとう、でももう少し頑張るよ。目指しているものがあるんだ。」
君を守れるくらいの力を手にいれたいんだ。
胸を張ってヒーローのような君の横に立てるような自分になりたいんだ。
「そうか・・・。そう言えば、あの猫、アーサーはどうしてる?まだ噛まれているのか?」
アーサーとはルルーシュと拾った猫のことだ。
段ボールに入れられた子猫を見た時猫が大好きなスザクが一目散に喜び勇んで抱き上げたのだが、思いきり小さな歯で噛まれた。大声を上げたスザクに驚いたルルーシュが慌てて子猫を引き受けると、可愛らしくにゃあんと鳴いて大人しくなった。本来ならばルルーシュが飼った方がよかったのかもしれないが、生憎アパート暮らしのルルーシュには無理だったので、スザクがあちこち傷だらけになりながらも育てることになり、スザクの家に遊びにくる度にルルーシュは猫じゃらしなどを持って遊んだ二人の思い出の猫だった。
「・・・う、うん。相変わらず僕の片思いだよ。」
「ははっ。またアーサーにも会いたいな。」
「そうだね・・・。」
言葉少なく曖昧に笑った。
嘘だったのだ。
本当は半年前にアーサーは病気で亡くなってしまった。
けれど何となく『死』を病室で話すことに抵抗があった。それに優しく笑うルルーシュを前にしたら、がっかりさせたくなくて思わず嘘を吐いてしまったのだった。
5に続く