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ルルへの愛を語ったり 日々のことを綴るともきの日記
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毎日たくさんの拍手ありがとうございます!
今日はちょっと環境が違うので、明日レスさせて頂きます。


Hey・・・5

・ルル
死ネタ

・後悔するスザクさん

・現代スザ→←ルル リーマンスザクさん
・王道を極める展開
・正確ではない病気・症状表現



第一の萌えポイントにようやく到達。
半身様に「マスク外しちゃあかん!」と言われて、思わず吹き出した人非人ともきです。


まだ続くけど、どんと来い!な方はどうぞ!


Hey・・・5


「そうだ、プリン持ってきたよ。コンビニので申し訳ないんだけど。」

嘘を吐いたことが気まずくて話題を変えた。
持ったままだったコンビニの袋から買ってきたプリンを豪華な花が生けられた花瓶が置かれているサイドテーブルに出す。
安っぽいパッケージがこの高級な室内には酷く不似合いで、急に恥ずかしくなった。
羞恥と後悔から顔を赤らめるスザクに対して、ルルーシュは嬉しそうに顔を輝かせた。
その期待に満ちた表情が余計苦しかった。
こんなに楽しみにしていてくれたのなら、もっといいものにすればよかった。
時間と労力を惜しんだ自分に内心罵声を浴びせる。
俯いて淡々と蓋を開け、プラスチックのスプーンを準備するスザクを見つめていたルルーシュは不意に苦しげに顔を歪めて、酸素マスクに手を伸ばして口に押し当てた。

「はい、どうぞ。・・・っ!ルルーシュ、大丈夫?」

もともと白かった顔色を更に蒼褪めさせ、眉を寄せるルルーシュを見て慌てたスザクのシャツを細い指先がツンと引っ張った。

「だい・・・じょうぶ。ちょっと、苦しくなった・・・だけだから。」

絞り出すように吐息を吐いたルルーシュはそれでも笑ってスザクを柔らかく見つめた。

「そ、そう?でも、どうしよう、ナースコール押した方がいいんじゃないかな。」

考えてみれば生まれて初めて対面する『病人』にオロオロとするスザクにルルーシュは緩く首を振って、再びマスクを外した。

「必要ない。だから、プリン。」
 
どうしたらいいのかわからず、スザクはとりあえずルルーシュの言い通りにすることにした。
催促された通りに、プリンをひと匙掬ってルルーシュの口元に運ぶ。
秘かに憧れていたシチュエーションに緊張してほんの少ししか掬えなかったが、落としてしまうのが怖くてその欠片にも満たない量を色を失くした唇に近付けた。

「ん・・・。」

ちゅるっと音を立てて、ルルーシュはプリンを口に含んだ。

「おいしい。」

幼子のように無邪気に顔を綻ばせたが、あんな僅かな量で果たして味などわかったのだろうか。
その笑顔を自分を気遣った故のお世辞ととったスザクは、もう一度今度はスプーンの底が隠れるほどの適量を掬い差し出したのだが、ルルーシュはすまさそうに目を細めた。

「も・・・う十分。」

「いいの?」

コクンと頷かれ、強制するわけにもいかず掬ったプリンを容器に戻したちょうどその時、スーツの内ポケットがブブブっと震えた。

「あっ、やばっ!上司からだよ。ちょっとごめんね。・・・もしもし?」

画面に表示された名前を見て顔を顰めたスザクはルルーシュに一言謝ってから慌ててボタンを押した。

「ロイドさん?はい、・・・はい。すみません、すぐに戻ります!」

何してるのぉ?クライアントが待ってるんだけどぉ。
間延びした声に責める色はなかったが、この変わり者の上司にクライアントを任せると後が大変なのだ。優秀な人だが人格に問題がありすぎる。
電波の向こうに無意識に頭を下げて携帯を切ったスザクは、マスクを付けてこちらを見ているルルーシュに向き直った。

「ごめんね、もう行かなくちゃ。・・・今度はちゃんとしたお店のプリン買ってくるからね。また来るよ。」

慌ただしくプリンの容器を机に置き椅子から立ち上がると、華奢な手がふと伸びてきた。

「え?」

冷たい手の先がスザクの僅かに汗ばんだ手の平に触れる。

「ルルーシュ?」

高校生の時どさくさに紛れて一度だけ握ったことのある細い手の感触は今でもよく思い出すのだが、その時よりもうんと冷えた指先がたどたどしくスザクの手のひらを撫でる。
握り返していいのかわからず体を強張らせたスザクにルルーシュが何か言いたそうな視線を向けていたが、結局それは声になることはなかった。
しかし胸の奥底を震わせるような透明な眼差しに、スザクはもう何も考えられず、強く細い手を握り締めた。

「また来るよ。」

もう少し力を篭めてしまえば粉々に壊れてしまうのではないかと恐ろしく思いながらも、言葉にならない想いを手の熱に託した。
それが伝わったのかどうか、ルルーシュは僅かに紫色の瞳を潤ませて小さく微笑んだ。
マスク越しでなければきっとその笑顔を見た瞬間に、スザクは隠していた思いをぶちまけてしまっていただろう。
けれど今は言うべき時ではないとぐっと喉の奥に呑み込んで笑った。

「またね。」

すっと手を放すと、無性に淋しくなった。
するりと抜けた白い手を布団の中に戻してやり、スザクは後ろ髪を引かれるようにしてドアを開けた。

「        」

何か聞こえた気がして最後に振り返ると、こちらをじっと見つめるルルーシュと目が合った。
するとルルーシュはまどろむように目元を和らげた。
それに何故かほっとしたスザクも応えるように笑って、静かにドアを潜った。


死んでしまうことなんて凄く特別すぎて縁がないことに思っていた。
たとえば、雨が降っても必ず太陽が戻ってくるように。
明日がくることは当たり前で。
生きていることなんて何にも特別なことじゃなかった。
またねと言えば、それは絶対に現実になると、そう信じていた。
だからこの先の未来のことに、何の覚悟もできていなかったんだ。
もしこの時気付いていたら、僕はどうしていたのかな・・・。


6に続く

 

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