と叫びたくなるような事態です。
そう、風邪の次は今度はものもらいさんがともきを熱烈に愛してくれています。
やだ、今年ともきモテ期?
うふふ、全く嬉しくない☆
土曜日に大きな仕事があるので、それまでに彼(ものもらいさん)の愛が冷めてくれることを願っています。
毎日拍手ありがとうございます(*^_^*)
レスは明日させて頂きます!
さてさて。
忘れられないうちに、ジノルルUPですv
・ジノルル騎士皇子 「それはまるでお伽噺のような」番外編
・第二部の数カ月後くらい
それはまるでお伽話のような
番外編
Can You Feel The Love Tonight?
4
ジノの言葉に嘘はなかったが、真実はもう少し複雑な面も持っていた。
身内の不幸で領地の城へと朝から出かけていたジノは本来であれば明日か明後日戻ってくるはずあった。その予定を強引なまでに繰り上げてきたのは、ルルーシュのことが心配でならなかったからだ。
一度は実家にある自室のベッドに潜り込んだのだが、ルルーシュの顔が浮かんでしまうと堪らなくて、一向に眠れなかったのだ。
そんなに頻繁ではないのだが、ルルーシュは夢に魘されて、眠りながら泣いていることがある。昔の日々が悪夢となって彼を苦しめているのだろう。
『泣き方なんて忘れてしまったよ』
いつかそう言って、淋しそうな微笑みを浮かべていたルルーシュ。
水晶のような涙が溢るる泉のように白い頬に伝っていくのを、偶然部屋を訪れたジノが目にした時、息が苦しくなるほどに胸を締め付けられた。
ルルーシュは夢の中でしか泣くことができないのだと思うと切なかった。
そして独り、静かに涙を流す彼を救ってやれないことに無力さを噛み締めた。
どんなことであっても、ルルーシュを助けたい。そう願うのに、夢の世界までは助けにいくことができない。
けれど何もできなくても、せめて傍にいたいと思い、ジノは夜の挨拶をして退出した後、ルルーシュが深い眠りについた頃にまた部屋を訪れ、そっと彼の眠りを見守るのだ。
星々だけが夜空で煌めきを詠うその静かな時間は、ルルーシュが長い眠りの中に囚われていた日々を彷彿とさせた。
昏々と眠るルルーシュの顔を祈るような気持ちで見つめていたあの頃。
あの時も結局何もできやしなかった。
ただただ彼を見つめ、話しかけるだけの逢瀬。
けれど、意味も効果もないものだとしても、何かせずにはいられなかった。
一粒の砂のような微かな希望でも信じていた。
だから今度も、ルルーシュが悪夢に魘されなくなるまで、そっと彼の傍にいようと思った。
たとえ夢の中で孤独に震える彼にぬくもりが届かなくとも、この手を離さないと決めたのだ。
そんなジノであったから、今頃ルルーシュがベッドの中で独り泣いているのではないだろうかと想像してしまったら、居ても立ってもいられなくなって、荷物も纏めないまま、身一つで馬に飛び乗ってしまったのだ。
明日の朝、ようやく帰郷した末っ子を起こしにきた執事は、空っぽの部屋を見てさぞや驚くことだろう。
「髪、濡れてる・・・」
白い夜着に包まれたほっそりとした腕が膝をつくジノの頭に伸ばされた。
繊細な指先が蜂蜜色の柔らかな髪をそっと摘む。
「ああ、今夜は雪が降っているんですよ」
正確には吹雪といっていいだろう。
領地からこの宮までの数時間、愛馬を駆けてきたジノは全身ぐっしょりと濡れてしまった。頭からつま先まで濡れた状態で主の部屋を訪れるわけにはいかないので、逸る心を抑えて、与えられた自室で着替えをしてきて、適当に髪をタオルで拭ったのだが、時間が惜しくて完全には乾かしていなかったのだ。
いつもはふわりとした金髪が、今は水の重みで真っすぐに伸び、精悍な横顔に張り付いている。
外の寒さの欠片を内包したように冷たい毛先に触れながら、ルルーシュはポツリと呟いた。
「雪か・・・」
ふっと笑みを消して、どこか物憂げなに睫毛を伏せたルルーシュの表情の変化に気付いたジノが優しく問いかける。
「雪はお嫌いですか?」
「・・・」
返答がないのが、雄弁な答えであった。
続く