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ルルへの愛を語ったり 日々のことを綴るともきの日記
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レスが遅れていて申し訳ありません!
全部大切に読ませて頂いております(*^_^*)
今週中にお返事致します。




・ジノルル騎士皇子 「それはまるでお伽噺のような」番外編

・第二部の数カ月後くらい









それはまるでお伽話のような
番外編 


Can You Feel The Love Tonight?







部屋の主を起こさぬようにだろう、足音を立てぬように慎重に分厚い絨毯の上を歩くジノの顔を見たルルーシュは思わず安堵の吐息を洩らした。
空気を僅かに震わせたその小さな吐息に気が付いたジノがルルーシュの方を見て、驚いたように空色の瞳を丸くする。純紫の瞳と薄絹越しに目が合うと、すぐにジノは瞳を甘やかに溶かすように細め、燭台を片手にゆっくりと豪奢なベッドへと歩み寄った。

一方ルルーシュは、近づいてくるジノの柔らかな気配を感じながら、深い後悔をしていた。
これで起きていたことがバレてしまった。
寝たふりをすればよかったのに。
ジノが何の用があって部屋を訪れたのか知らないが、彼の手を煩わせることを増やしてしまった己の行動が恥ずかしかった。
それでも。
それでもジノを一目見てしまえば、まるで引力に引き寄せられたように目が離せないのだ。
甘い花の蜜を覚えた蝶のように、それは理性では抑えられない衝動にも似た感情であった。
結局ルルーシュは、ジノがベッドを囲む薄絹を捲り、床に膝をつくその瞬間まで、美しい空色の瞳を見つめたままであった。

珊瑚の唇をきゅっと引き結び、一言も発することなく、儚い淡雪のような視線をただただじっと向けてくるルルーシュはいじらしく、ジノの胸に愛おしいという思いが尽きることなく込み上げてくる。
手にした燭台を腰ほどの高さのチェストの上に置くと、贅沢に床に敷き詰められた、薔薇が描かれた天鵞絨の柔らかな絨毯の上にそっと片膝をついて、羽毛布団に埋もれる麗しき主に優しい眼差しを注ぐ。


「まだお休みではなかったのですか?」


万物が眠る夜の静けさを壊さぬように囁くような声音で問えば、どこか気まずげな表情が返ってきた。
呪いが解けるまでの長い間、冷たい侮蔑の視線に晒され、まともに話すことすら許されなかったルルーシュの、神々が細心の注意を払い心を砕いて創ったような繊細な面に強い表情が現れることはほとんどない。
喜であろうと怒であろうと、ルルーシュの顔に浮かぶのはあるかなきか判別し難いほどの微かなものである。
しかしジノはルルーシュの瞳の奥にある感情を正しく読みとり、努めて朗らかに微笑んだ。


「今夜は特別寒いですからね。眠れない方も多いのではないでしょうか」


この部屋に限って寒いなどということはないはずだが、眠れぬことに抱く必要のない罪悪感を抱いているルルーシュに、眠れないことは特別なことではないと告げる。
すると僅かに葡萄色の瞳を和ませたルルーシュが、小さく唇を開いた。


「ジノはどうしてここに・・・?」


ジノにつられたわけではないだろうが、消え入りそうな声を発したルルーシュの布団の上に投げ出された華奢な手を己の大きな手で包み込むと、その陶器のように滑らかな甲にそっと口づけを落とした。



「一日離れていただけで淋しくなってしまいました」


その言葉を聴いたルルーシュは、その人形めいた美貌を微かに崩し、長い漆黒の睫毛を貴婦人の扇のように上下させた。
何を言っているのかわからないというようなルルーシュに、ジノは己の頬にルルーシュの手を押し当て、真っすぐに無垢な瞳を見つめ返す。


「ルルーシュに会いたくて、馬を駆けてきてしまいました」


ようやく何を言われたのか理解したルルーシュは、その熱い吐息混じりの掠れた声に胸がジンと熱くなったが、その熱の原因がわからず、そっと目を伏せた。
ジノの頬に触れた手が、重なる手のひらがどんどんと熱くなっていくようで、この正体のわからぬ気持ちが伝わってしまう前に離さなければと理性が囁くのだが、どうしてだか触れれば触れるほどもっと触っていたい、繋がっていたいと全く反対の気持ちが湧き上がり、温かな手を振り払うことができないのだ。


「だから、ルルーシュが起きていて下さって嬉しかったです」


気遣うことなどないのだと告げる優しい言葉。
ジノの言葉はまるで魔法のようだとルルーシュは思った。
それまでの胸を塞ぐような重たい気持ちは、強い風に押し流される黒い雲のようにどこかへ消え去り、心には明るい太陽の日差しが差し込む。
もちろん寝顔も大好きですけれどと笑うジノの、蝋燭と暖炉の炎の柔らかな灯りに照らされた快活な顔を見上げて、ルルーシュの白い頬に微笑が広がった。それは固い蕾がゆっくりと花開くような、見る者の心までも薔薇色に染めてしまうような美しい微笑であった。


続く
 

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