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ルルへの愛を語ったり 日々のことを綴るともきの日記
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にゃ~ん(>_<)
たくさんの拍手をありがとうございました!!
お陰さまで何とか8割くらい快復しました\(^o^)/
原稿も間に合いそうです!今回締め切りに余裕のある印刷所さんを選んでいて良かったです(涙)


こんなに更新がなかったのは、ほとんど初めてなような気がしますが、その間訪問して下さった皆様、拍手を下さった皆様、本当にありがとうございます。

感謝の気持ちをこめて!


THE CRUEL STORY 後編2

・ゼロレク後
・ナナリー厳しめ
・ナナリーには救いなし

原稿中で一気に書き上げることができなくて申し訳ないですorz
飽きられてしまうのを承知であと一話あります・・・。
3で絶対に終わらせますので!
お付き合い頂けたら幸いです<(_ _)>





「・・・だから遺体を燃やしたのですね」

「そうだ」


短い肯定の後ナナリーの耳に届いたのは、ヒューヒューというぜい鳴であった。それは目の前の仮面の男の命が今まさに尽きようとしている終焉の鐘。


大切な人は皆私を置いていく。


気管をギリギリと締められるような息苦しさを感じながらも、ナナリーは旅立つ男に最後の問いかけを口にする。


「ゼロ、教えて下さい」


「何だい・・・?」







THE CRUEL STORY 
後編2








「スザクさんは兄の顔を覚えていらっしゃいますか?思い出すことはありましたか?」


ナナリーは祈るような気持ちで声を絞り出した。


お願い、どうかどうか・・・。


「もちろん」



どうか、諾と言わないで。



「覚えているよ」


嗚呼、何て残酷な答え。
ナナリーは顔を覆った。
重たい身体を脱ぎ捨てようとしている男の心は既にここにはなく、真っすぐに彼の人を目指していたので、ナナリーの悲嘆に気付くことはなく、波紋一つない湖のような平安さを漂わせながら話を続けた。


「僕の心にはいつも彼が居た。時が経つにつれ、思い出す頻度は次第に減っていったけれど。どんな風に彼が泣いたか、怒ったか、それらはとても不鮮明だ。けれど微笑んだ顔だけは、忘れることはなかった。彼の笑みは最早僕の一部と言ってもいいだろう。それくらいルルーシュはいつでも僕の中に居てくれた。そう、やはりゼロはルルーシュなしでは成り立たなかったんだよ」


スザクの嘘偽りのない穏やかな告白は、ナナリーの心を切り裂いていく。
もう結構です、と呟いたか細い声はスザクの元へ届く前に冷えた空気に霧散して消えてしまった。


「彼の声も。ギアスという彼の願いを通して、何度も僕に呼びかけてくれた。『生きろ』とね。だから、僕はルルーシュの声もいつまでも忘れることはなかった。―――そして僕はとても彼に愛されていたのだと、最近になってようやく気付いたよ。僕は、幸せ者だったんだ・・・」


ふうと漏れた吐息は、まさしく至福の色に満ちていた。
ナナリーが言葉を発する前に、スザクは黒衣に包まれた腕を空に向かって伸ばした。仮面の中の翠の瞳が何を見ているのか、ナナリーには計り知ることができない。
そして掠れる声が、嬉しそうに空気を震わせた。


「ルルーシュ・・・、迎え・・にき・・・てくれたん・・・だね・・・」


ありがとう



それが最期の言葉だった。



「ゼロ・・・?―――スザクさん?」


急に消えた人の気配にふと顔を上げると、仮面の男の魂は既にこの世を離れていた。
ナナリーは震える手で男の後頭部を慎重に持ち上げ、仮面を外した。
カシャン、カシャンと、静寂に支配された室内に無機質な音が割り込む。
そして露わになった男の顔を、ナナリーは無表情に見下ろした。


「これが・・・スザクさんなんですね」


ベッドに横たわるのは、長い年月まともに陽の光を浴びることすらなかったせいだろう、不健康に白い肌をして、深い皺が刻まれた白髪の老人であった。
出逢った当時の幼い兄が一生懸命言葉を尽くして説明してくれた面影は全くない。



『スザクの眼はね、夏の濃い緑色をしているんだ。髪は、ほら、ナナリーが大好きなミルクチョコレートみたいな色で、ふわふわしている。肌は、僕らとはちょっと違って、何て言うのかな黄色掛かっていて不思議な色なんだ。それとスザクは太陽を一年中浴びているせいかな、とても健康的だよ』




知性を湛える深い紫色の瞳の視線の先にあった年若い少年の姿は時の狭間に失っていたが、けれど眠りに就いた男の顔は安らかで、どこか微笑んでいるようにすら見える。
彼は兄の意思である『ゼロ』であることを貫き通し、そして最期は兄の愛した『スザク』に還っていったのだろう。
悪逆皇帝の死後も不平等はなかなか無くならず、貧困、殺人、犯罪も撲滅は難しい。人が流す涙も絶えることはない。けれど、誰にでも公平に優しい理想郷のような世界は創ることはできなかったが、それでさえも兄の中では予定調和だったのではないだろうかとも思う。なぜなら、以前と違い人々の明日に希望があるのだ。希望という名の種を播いたのは兄で、その土壌を丁寧に創ったのは『ゼロ』である。恐らくもっと先の未来は今よりずっと素晴らしい世界になっているに違いない。そしていつの日か人々は『優しい世界』に辿り着くことだろう。
誰にも成しえないような大改革の片棒を担いだスザクは、恐らくそんな夢のような事を信じて眠りに就いたのだろう。だから常に公人としてあり続けた孤独な男は全力でその人生の灯火を燃やし、そして満ち足りた心で燃え尽きていったのだ。
現世の苦しみから解き放たれた柔らかな表情から視線を反らすことなく、ナナリーは紅でその色の悪さを隠した唇を動かした。




「スザクさん・・・。私の話を聞いて下さいますか?とても、とても残酷なお話です」

 


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ともき
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