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ルルへの愛を語ったり 日々のことを綴るともきの日記
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・皇子と騎士犬6

・まだ一話続きそうです(汗)

・犬スザク(子犬)×盲目な皇子(14歳)



「目蓋」との温度差に戸惑うともき・・・。


皇子と騎士



ルルーシュの柔らかな頬を思う存分堪能したスザクはピョンと跳ねて、花畑を縦横無尽に走り始めた。・・・リードを引きづりながら。
地面を擦るリードの音と、スザクの軽やかな足音に耳を澄ませていたルルーシュは思わず笑みを零した。
どちらかといえば内向的で室内にいることを好むルルーシュとは違い、妹のナナリーは小さな体いっぱい使って常に元気いっぱいに駆けずり回っていた。
そんなナナリーに甘いルルーシュはいつも振り回されていたけれど、それが楽しかった。

覚えのある感覚に目元が熱くなったルルーシュは、手元の蓮華草を何本か手折ると繊細な指先で花冠を編み始めた。
眼が見えないことなどまるで感じさせない手の動きで綺麗な輪を作っていく。

数年前に眼を閉ざして以来、異母兄が連れてきたたくさんの医者や精神科医に診察され、ルルーシュの眼が見えないのは角膜が傷ついたなどといった外傷によるものではなく、精神的なものだと診断された。
医者達は酷く同情的な声で「あまりの悲劇を見てしまったがため、もうこれ以上汚い世界、傷つく世界を見たくないという自己防衛が働いたのだと思います。」と言った。
けれど、それは違うとルルーシュは心の中で冷静に分析する。
皇族として生きてきた自分はある程度汚い世界も知っているし、生きていけば傷つくことも当たり前だとわかっている。
眼を閉ざした本当の理由は。
本当に怖かったのは。
それは。

『幸せ』だ。

この世界はたくさんの悲しみや憎しみも溢れているが、それと同じくらい喜びや愛があることを知っていた。
母やナナリーが教えてくれたからだ。
だから、怖かった。
二人を死なせてしまった、守れなかった自分が『幸せ』になることが。
戦争がそこらじゅうで起きているこの星で家族を失う子どもなど自分の他にも五万といるだろう。
その中でも異母兄に保護してもらい、何の不自由もなく暮らしている自分は間違いなく恵まれている。
だからこそ、眼を閉じる。
『幸せ』に気がつかないように、何も見えないように。
あたかも不幸であるかのように振る舞うのだ。
そうしなければいけないと思っていた。
それ故、色のある世界を失ってから一度もそれを取り戻したいとは思わなかった。
スザクに出逢うまでは。



『お母様、どうしたら強くなれるのですか?』

母の膝に乗りながら、無邪気に聞いたのはいつのことだっただろうか。

『ルルーシュは強くなりたいの?』

『もちろんです!』

『そうねぇ。強さにも色々あるから、一言では言えないわね。』

淡く微笑んだ母の口元を不思議に思ったのを覚えている。

『・・・お母様の強さとは何なのですか?』

そう問うととても驚いたような顔が返ってきた。

『ルルーシュはとっても賢い子ね。』

柔らかな手で頭を撫でられると気持ちよくて目を細めてしまうのが癖だった。
それを二番目の異母兄には猫のようだとよく笑われたが。

『私にとっての『強さ』とは、そうね。生きることを諦めないことかしら。』

『?』

『人はいつか一度は試されるのよ。生きる勇気をね。』

『?』

特に難しい言葉を使っているわけではないのに、単純であるが故に理解が難しかった。
首を傾げて考えていると、いつの間にか母に抱きすくめられ頬にキスをされた。

『ルルーシュは強くあってね。私の可愛い子。』

正確な意味はわからなかったけれど、大事なことを言われた気がして勢い良く頷いた。

『はいっ!』

母の愛おしげに細められた瞳から伝わってくる愛に心地よく身を任せた。
 


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ともき
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