鏡合わせの皇子シリーズ
新たにmiuさんという大物な仲間を同志にお迎えしたのを記念して\(^o^)/
・お出掛け編3
・ゼロルル+スザク
・双子がちっともお出掛けしてくれません・・・。
お出掛け編なのにOrz
鏡合わせの皇子と玩具騎士~お出掛け編3~
鏡合わせの皇子達の着替えというものをスザクは初めて目にした。
鏡合わせの皇子達の着替えというものをスザクは初めて目にした。
本来皇族というのは何から何まで人の手を使うので、着替えなども自分ではしないのが皇族の常識である。
しかし双子皇子は他人の手を借りることを滅多にしない。
スザクはその理由をまだ教えてもらっていないが、なんとなくこの主達は他人をあまり好きではないのではないかと思う。
直接そうだと言われたことはないのだが、ゼロとルルーシュの世界はお互いの存在だけで成り立っていて、他の人間が入る隙を見せないようにしているように感じる時が多々ある。
幸か不幸か、なぜか自分もその世界の端っこに入れてもらっているが、まだまだ謎だらけの二人だ。というよりも難解な数式よりもよほど理解が難しい双子だ。
「何をそんなに」
「呆けた顔で」
「見ているんだ?」
双子の着替え風景に目を奪われていると、クスリと二つの吐息に笑われた。
「いえ、あの・・・。器用だなって思って。」
スザクの目の前で繰り広げられている着替えは、ある意味とても器用だった。
まずゼロがルルーシュの絹のシャツに手を掛けると、ルルーシュも当たり前のようにゼロのシャツに手を伸ばした。
そして四つの華奢な手が艶めかしく動いてお互いのボタンを次々と外していき、透き通るような真白い肌を露わにしていく。
お揃いの紫紺のリボンタイも、ゼロがルルーシュの、ルルーシュがゼロの首に腕を回して、そっくりな顔を寄せ合いながら解いていくのだ。
よく腕が絡んでしまわないものだと感心してしまうが、双子は何てことはないようにスルスルと合図の目線一つ交わすことなく進めていく。
「別に」
「これが普通だから」
「特に器用だとは思わないが」
「スザクは」
「いつもどうやって」
「「着替えているんだ?」」
全く同じ大きな宝石のような瞳に興味津津という風に見られて、スザクの胸は二人に聞こえてしまうのではないかと心配になってしまうほどに大きな音を立てて跳ねた。
ちょうど双子がお互いのベルトに手をかけて、スラックスを脱がせ合っていたところだったからだ。黒いスラックスが舞台の幕のように下りて、現れたのは太陽の光など知らないとでも言いだしそうなほどに白く形のよい綺麗な四本の足。
しかも小さなお尻を包んでいるのは・・・。
「黒ビキニ!?」
「「はっ?」」
質問に答えず、突然下着の種類を叫んだスザクに、双子の不審そうな視線が突き刺さる。
「す、みません!何でもないで、本当に何でもないんです・・・・!!」
スザクが顔を茹で蛸のように真っ赤にしながらしどろもどろに答えているうちに、二人は手にしたワンピースをお互いに着せて、あっという間に黒ビキニを隠してしまった。
それを少し残念だと思ってしまった正直なスザクは、自分の思考に動揺した。
すっかり黒ビキニが目に焼き付いてしまい、頭の中の自分と緊急会議を開いているスザクを役に立たないと判断した双子は、お出かけの準備を進めることにした。
「やっぱりこの色にしてよかったな。」
背を向けたルルーシュの漆黒のワンピースのファスナーを上げてやりながら、ゼロは満足気に息を吐いた。
「そうだな。ユフィの桃色は俺達には合わないな。」
ドレスを貸そうかと聞いてきてくれた無邪気な義妹。
穏やかに笑って首を振った双子だったが、その時、お互いの胸の奥で恐怖が蠢いたのがわかった。
ゼロではない、ルルーシュではない誰かが袖を通した服を身に纏うなんて、双子にとってはとんでもない話だった。
「魔女には今度上手いピザを作ってやろう。」
「それがいい。」
ルルーシュが振り返り、笑い合った頬を寄せて互いの白い頬にチュっとキスをする。
大丈夫、決して一人にはさせないから。
同じ色をした瞳を合わせて、同じ想いを読み取る。
完全に二人だけの世界に入り込んでしまった主達を酷く遠く感じたスザクは、しかし何も言えずに、ただ瞬きを繰り返すことしかできなかった。
「さて、スザク。」
「ひゃ、ひゃい!」
ぼんやりと呆けていたスザクは変な所から声が出てしまった。
その素っ頓狂な声が響いた瞬間、それまでどこか妖しいまでの妖艶な雰囲気が漂っていた室内が、一気に猫が昼寝をしてしまうような呑気のものに変わった。
双子は違いのない顔を合わせると、ふっと笑った。
その柔らかな笑顔は笑ったというよりも、苦笑に近かったが。
「やっぱり」
「スザクを選んで」
「「良かったな。」」
「??」
スザクには何がどうしてそういう話になるのか見当もつかなかったが、自分の存在をこの極端に狭い世界に住む鏡合わせの皇子達に認めてもらえたように感じ、心を天使の羽根で撫でられたように擽ったくなった。
「というわけで」
「特別に」
「ルルーシュに」
「ゼロに」
「口紅を塗ることを」
「「許してやろう。」」
にこりと笑った白い二つの顔は本当に美しかったが、その邪気のない笑顔を向けられたスザクの背中は一瞬で汗でびっしょりになった。
「無理です!だって僕女の子じゃないですから、化粧をしたことなんてないですもん!」
必死に胸の前で手を横に振るスザクを四つの紫色の瞳が不思議そうに瞬いた。
「何を」
「ごちゃごちゃと言っている。」
「俺達が」
「いいと言っているんだから」
「お前はそれに」
「従うしかないだろう。」
「スザクは」
「私達の」
「「騎士なんだから。」」
玩具なんだからと聞こえたのは、スザクの気のせいだったのだろうか・・・。
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