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ルルへの愛を語ったり 日々のことを綴るともきの日記
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鏡合わせの皇子シリーズ

半身様にすみれ様、さらにはナツコさんという新たな同志を得たのを記念して(笑)


・ゼロルル+スザク

・前回のお出掛け編の続き

・キャラ崩壊気味です






鏡合わせの皇子と玩具騎士 ~お出掛け編Ⅱ~




「駄目ですよ!」
 
皇子の身分にある人がそう簡単にホイホイ外に出られたら苦労はない。
スザクは常識を則り、かつ騎士として当然のこととして(無駄だと微かに分かりながらも)主達を諌めた。
否定の言葉を聞いた双子皇子の片割れ、ルルーシュはさも悲しそうに長い睫毛を伏せ、ゼロの胸元へと顔を半分ばかり埋めて、すんすんと泣き始めた。
 
「ええっ!?泣くんですか!?これで!?」
 
思わず声を上げたスザクだが、目の前では全く同じ顔の一つからホロホロと水晶のような滴が零れ落ち、もう一つの白皙の美貌が同じ顔をよしよしと慰めている。
悪い夢に迷い込んでしまったような気持ちになるのは、この双子が持つ不思議な雰囲気のせいだろう。
 
「でも、本当に駄目ですって!だって今から警護の人達を集めるには時間が足りないし、行く店にも先触れをして貸し切りにしないといけないですし、それに・・・。」
 
なんとかこの暴走双子のストッパーになろうと日々努力をしている、まだその成果は現れていないが、スザクはルルーシュの涙にも誤魔化されず説得を続けた。
が、すぐにその口を噤むことになる。
それは、兄の胸からちょこんと顔を出したルルーシュ皇子のウルウルと涙を溜めた紫色の瞳とばっちり目が合ってしまったのだ。
 
「うっ。」
 
いつものように二人掛かりで畳み掛けられるよりも、万の星の輝きよりも美しい光を宿した神秘的な濡れた瞳に無言で責められる方がよほど胸にくるものがある。
何も悪いことなどしていないのに、その潤んだ瞳を見ていると根拠のない罪悪感がどこからともなく湧いてくるのだ。
 
「・・・・。」
 
「・・・・。」
 
「・・・・。」
 
無言の攻防は暫く続いたが、ルルーシュの左目からポロリと涙が零れ落ちたのを合図に、スザクは白旗代わりのため息を吐いた。この涙に心を動かされない人間の心はきっと固い石で出来ているに違いない。だから自分は悪くない、と言い訳じみたことを考えながら、呟いた。
 
「わかりましたよ。僕の負けです・・・。」
 
それを聞いた双子は一秒のずれもなくお互いの顔を見合わせて、ニヤリと笑った。もちろんスザクには見えない角度で。
一瞬後には天使でさえも見惚れてしまいそうな蕩ける満面の笑顔を浮かべる。
 
「さすがスザクだな」
 
「お前なら分かってくれると」
 
「「信じていたよ。」」
 
計画していたなどとは間違っても言わないのは、双子の質の悪い所。
 
「でも本当にどうしましょうか。まさか僕一人だけの警護だなんてありえないし。」
 
うんうんとない頭を絞るスザクに双子は謳うように軽やかに口を交互に開く。
 
「皇子が行くから」
 
「困ることがあるだけであって」
 
「要は皇子が行かなければいいんだ。」
 
「はっ?」
 
自分たちが行きたいと言っておきながら、皇子が行かなければいいとはどういうことだ。
もちろんスザクとしては、主達が行かないのは願ってもないことなのだが・・・。
双子達は首を捻るスザクを動物園にいる道具を使う猿を見る子どものような瞳で見て、同じように吐息をくすりと漏らして笑う。
 
「だから」
 
「スザクがわかるように単純に言いかえると」
 
「お忍びで」
 
「行こうと言っているんだ。」
 
「ええ!?無茶ですよ。どうやってその綺麗な顔を隠すんですか。無理です。」
 
双子皇子は幼い頃から国民にその存在を知られていて、数いる皇族の中でも目立っている。
眼鏡や帽子を被ったくらいではすぐにバレてしまう。
ましてや二人が揃っていればいくら頑張ってもお忍びにはならないだろう。
きっぱりと首を振ったスザクだったが、そんなものは初めから気にしていない双子は先程の殊勝な様子はどこへやら、二人揃って胸を反らしてフンと同時に鼻を鳴らした。
 
「お前は」
 
「まだまだ」
 
「俺達のことを」
 
「「理解していないな。」」
 
「悪いが私はルルーシュの」
 
「俺はゼロの」
 
「可愛さを」
 
「美しさを」
 
「「完全に理解している。」」
 
鏡合わせのような二人が口を開くたびに、話している方に目線を動かしているとその忙しさに目が回ってしまいそうになる。
はあ、と情けない返事を返したスザクは内心、それってつまり究極のナルシストとなんじゃないかと思ったが口には出さなかった。
しかし口に出さないだけで顔にはしっかりと出ていたのだろう、双子皇子は意味深にチラリと深淵のような目を合わせ、クスリと哂った。
 

「「だからまだまだと言っているんだよ。」」
 

スザクにはどちらが言った言葉なのか咄嗟に理解できなかった。あまりにも綺麗に同じ声が重なったから、まるで一人が喋っているような錯覚を覚えたのだ。
少し戸惑ったような表情を浮かべたスザクはそっちのけで話は進んでいく。
 

「スザクの頭の回転に合わせていたら」
 
「あっという間に日が暮れてしまいそうだ。」
 
「それはそれで面白いが」
 
「今日の目的はそれじゃない。」
 
サラりと酷いことを言いながら、双子はその清らかな白い顔に不釣り合いなあくどい表情をニタリと浮かべた。
 

「「俺達もちゃんと対策は練った。」」
 

と得意げに言って、簡易クローゼットの中から取り出したのは
可愛らしいワンピースやら長いウイッグやらハイヒールやら。
まるで女の子の衣装部屋をそのまま取り出してきたかのような光景にスザクは目を丸くした。
 
「それどうしたんですか?」
 
ゼロとルルーシュは楽しそうに囀る。
 
「「緑の魔女がくれた。」」
 
「あの人ですか・・・。」
 
正体不明の緑の魔女。
スザクも何度か会ったことがあるが、会うだけで生気を吸い取られるような人だ。
しかし双子と相性が良いらしく、いつも楽しげに三人でピザを食べながら何かを話している。
その話とは大抵悪戯の計画であり、スザクはその主な被害者だ。
またあの女は余計なことをして・・・。
頭の中で高笑いをする魔女を思い浮かべてげんなりとしたスザクは更に追い打ちをかけられた。
 
「これで」
 
「問題解決だな。」
 
ふむと満足気に頷く主達にスザクは悲鳴を上げた。
 
「まさかこれを着てデザートバイキングにお忍びで行くおつもりですか!?」
 
返ってきたのは二つの天使のような悪魔の笑顔だった。
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