鏡合わせの皇子と玩具騎士シリーズ
・ゼロルル皇子+騎士スザク
・今回はゼロルル→←スザクな感じに見えますが、あくまでゼロルルです\(^o^)/
マイナーカプって萌えるね!そんな心意気を持っていたいです(え)
鏡合わせの皇子と玩具騎士 お出掛け編5
甘ったるい匂いが体中に染み付いたように感じたスザクは帰りの車中でこっそりとため息を吐いた。
主達の容姿であればこの非現実的な夢の国のような香りが、それこそ誂えたようにぴったりと合うが、自分のような無骨な(スザクは自分がそうだと信じている)軍人には全く似合わない。
いうなればおにぎりとチョコレートを一緒に食べるくらいの違和感だ。違和感というよりももはや気持ち悪い。
宿舎に帰ったら周りに何て言われるだろうと心の中で嘆息していると、スザクが座っている座席がドンっと蹴られた。
慌てて顔を上げると、そこにはムスっと花のような口唇をへの字の曲げているゼロがいた。
ルルーシュはどうしているかと見れば、腕組みをしてオトコらしく座るゼロの肩にしなだれかかるようにして、すうすうと小さな寝息を立てている。
外見では全く見分けのつかない鏡合わせの皇子達だが、性格もまるで同じかと言えばそうではない。そのことはこの先スザクが嫌というほど味わっていくのでひとまず置いておくが、体力面でも差があることはこの新米騎士もわかっている。
ゼロは見かけに反して体力面においてもしっかりとしているが、ルルーシュは容姿を裏切ることがない。そのいっそ可憐と言っても可笑しくないルルーシュの身体能力を可愛い、守りたくなる、とスザクは密かに思っているのだが・・・。
「な、何ですか?」
勤務中にあるまじき散漫さを叱られるのだろうかと真面目な顔をすると、眉を寄せたままのゼロがルルーシュの長い黒髪を撫でながら桜色に染められた口を開いた。
絶世の美少女に(本当は男だが)、そんな不機嫌そうな顔をされると何だかとてつもなく悪いことをしてしまったような、今すぐ土下座でもしたくなるのは、悲しい男の性なのだろうか。
「何故そんなに不満そうな顔をしている?」
「え?」
胃が痛くなるような思いをこの2時間ほどでみっちりと味わったが、別にそのことに対して不満など抱いていない。
主に誤解させてしまうような顔をしていたのだろうかと、嫌な汗が毛穴を開くのを感じる。
「お前は楽しくなかったのか?せっかくルルーシュが・・・。」
「ルルーシュ殿下が?」
何だろう、と首を傾げると、どうやら失言だったらしくゼロは顔を僅かに赤くした。
「っ!!!もういい!!」
ぷいっと顔を背け、片割れの細い肩を抱き寄せる。
あっ、いいなとスザクは思わず思ってしまったのだが、そんなことは口が裂けても言えない。
「ルルーシュ殿下が何ですか?」
中途半端は性に合わない。
意外と短気なゼロを怒らせるのを承知でおずおずと問う。
しかし予想外にも、ゼロは怒らなかった。
むしろどこか困惑したように長い睫毛を伏せて、熟睡している半身を見つめる。
「一人で話すのは慣れていない。だから口が滑った。」
そういえばそうだ。
双子皇子に仕えて間もなく一年が経とうとしているが、どちらか一方とだけこのように長く話すことは今まで一度たりともなかった。
ワンセンテンスを二人で区切って話すという異常な状態にすっかりと慣れてしまったので、鏡合わせの皇子が一人で話していると、むずむずとした、こちらの方が異常なのではないかというような錯覚さえ覚えてしまう。
6に続く。
久しぶりすぎて、このシリーズの書き方をまだ完全に思い出せませんOrz