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ルルへの愛を語ったり 日々のことを綴るともきの日記
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某様が酷いお話を書くのに躊躇ったとおっしゃっていたので、ここは年上としてともきが頑張らなくては!と急遽UPw本当に酷いお話なので注意して下さい<(_ _)>


・近いうちにUP予定の短編「最後に呼ぶ名」のもとになったお話ですので、設定等に若干似た雰囲気があります。

ともきもドン引きするくらいに酷いお話です(重要)

・スザクさんに対するルルの話し方などがキャラ崩壊です。

死ネタですので、収納する時は悪夢部屋に入れますw

・山神スザク×子ルル

・黒の騎士団メンバーが酷いです。

・とにかく酷いので、シリアス&悲恋大好き☆な心臓がサクラダイト並みの強さを誇る方のみ読まれることをお勧めいたします。


こんな感じでも読んでやんよ!という方はぜひ<(_ _)>


百夜の恋1


スザクは退屈していた。
けれど他の神のように人にかかわるのは面倒だと、山奥のひっそりとした打ち捨てられた祠でひっそりと暮らしていた。そして時が経つほどに麻痺していくようにスザクの感情も薄れていった。そんな一人きりの時が過ぎて数百年が経った。
 
 
冷たい月の光が暗い森林を明るく照らすある夜のこと。
ふといつもと違う住み慣れた森の様子に、スザクは目を開けた。
祠の腐った木の壁から外を覗いてみると、そこには月の化身のような少年が祠の前に立っていた。気配でそうでないとわかっていても思わず同族かと思うほど美しい姿に、スザクはただただ目を奪われた。
まだ12、3と思われる幼い少年の全体をよく見ると、ボロボロの着物を纏い、手には榊と僅かばかりのお供え物のようなものを大事そうに持っている。すっかり冷たくなっているであろう土の上に躊躇いなく正座をすると、持っていたお供え物を祠の前に宝物のようにそっと置いた。
 
「どうかお願いします。妹を助けてください。妹の目を見えるようにして下さい。妹の足を動けるようにしてください。お願いします。」
 
凛と姿勢を伸ばして手を合わせて雲雀のように美しい声でそんな願い事を口にすると、優雅な動作で頭を下げて、そのまま土に額をつけた。しばらくそのままでいると、スクっと立ちあがり膝に付いた土を払い立ち去っていった。
 
「何アレ。」
 
人間なんて面倒だ。
都合のいい時だけ神頼み。
そんな勝手な人間の願いを叶えてやるつもりはスザクには到底なかった。
そうだ、いくら清らかそうな雰囲気をした幼い子供であろうと、人間など信用していいことなど何一つとしてないのだ。
そう信用してはいけない。
 
 


次の日の夜、少しだけ欠けた月の光が輝く森の奥で珍しくスザクは起きていた。
何気なく耳を澄ませていると、険しい山道を登るたどたどしい小さな足音が聞こえてきた。
昨日と同じ襤褸を纏った少年が茶器を手に持って祠の前にやってきた。
 
「今日はお水だけで申し訳ありません。」
 
そう始めに謝ると、また冷たい土に膝をつくと昨日と同じように額ずいた。きっちりと手を下げた頭の前に揃え、
 
「お願いします。何でもしますから、妹を助けて下さい。」
 
昨日と同じ願い事をすると、数分間小さな頭を下げ続けた。
もういいと、その頭に手を添えたくなったが、これは人間なのだと己を戒める。
しばらくすると、また昨日と同じように森を去っていった。
 
 
それから一週間同じことが続いた。
スザクは夜になると、耳を澄まし祠からそっと少年を覗くようになっていた。
しかし次の日スザクの心は外で降りしきる雨のように冷たくなっていた。
どうせこんな雨の日は来ないだろう。
人間は都合が悪くなるとすぐに言い訳をするから。
そう氷柱のような心で、しかし視線は外から外すことはできずにじっとしていると、水に濡れて重たくなった土を踏みしめる音が聞こえた。
身を起こし外を覗くと、霧のように細かい雨が降る白い世界にぽつりと細い影が見える。
 

小さな彼は裸足でグチョグチョになった土の上を歩きにくそうに歩いてくると、濡れないように着物の内側に入れておいた小さな饅頭を祠の前に差し出した。
そしていつもと同じように土に頭を着けてお願い事をする。
サラサラとした黒髪が濡れそぼり、前髪には泥が付いているのを見ていると、スザクの麻痺したはずの心のどこかでチリっと焼けるような痛みが生まれた。少年がいつまで経っても立つことをしないので、自分でも知らないうちにハラハラとして少年を見守っていると、ぐらりと小さな体が泥の上に倒れた。その瞬間祠から飛び出したスザクは、冷たく細い体を抱きしめて祠の中へと招き入れた。こんなボロボロな祠だが、スザクが張った結界のおかげで、普段人間が入ってくることはできない。いわばスザクの城なのだ。その中に人間を入れたのは初めてだったが、これはただ自分のねぐらで人に死なれては気分が悪いからだと言い訳をしながら、思いとは裏腹に優しく少年を寝かした。
額に手をやるとひどく熱かった。
少年の体は明らかに栄養不足で、その継ぎはぎだらけの着物を見るまでもなく彼は貧しい生活をしているのだろう。そんな貧弱な体でこの雨の中山奥までやってきたので、熱を出したに違いない。人間の体の仕組みなど知らないスザクはどうしていいのかわからずにただその体を抱きしめることしかできなかった。
どれくらい経ったかわからないが、スザクの神気に包まれた少年はふっと眼を開けた。
 
「んっ。」
 
その朝焼けのように輝く美しい紫色の瞳と視線が合うと、スザクは数百年ぶりに動揺した。
 
「あ、あなたはもしかして山神様ですか?」
 
小さな声が真実を求め問うてきた。
そのまっすぐな瞳に射られたスザクは仕方なく口を開いた。
 
「そうだけど?」
 
「やっぱり。」
 
安堵したようににこりと笑った少年は次の瞬間、ジタバタと鈍い動作ながら必死にスザクの腕から離れようとした。
 
「何してるわけ?」
 
自分に触れているのがそんなに嫌なのかと不機嫌に冷たく言い放ったスザクに、少年は蒼白な顔をして床に額を擦りつけた。
 
「申しわけありません。山神様に触れるなど!お許しください。どうかこの咎が僕だけにして下さい。」
 
呆気に取られたスザクだったが、ほんの少し口の端を上げるとまだ濡れている頭を撫でてやった。その優しい手つきに顔を上げた少年ぽかんとした表情を見ていたら、何だか可笑しくなってきてスザクはいつぶりになるか分からない笑い声を上げた。
 
「あはは!君って結構面白いね。人間なんて皆同じだと思っていたけれど、君なら話を聞いてあげてもいいかも。」
 
ほんの気まぐれでそう口にすると、少年は縋りつくような目をして再び頭を下げた。
 
「どうかお願いです。僕の妹の体を治して下さい。妹は二年前家に忍び込んだ奴らに暴行されて視力を失い、足も動かなくなってしまったんです。全て僕のせいなのに・・・。お願いします!何でもしますから、どうか妹を救って下さい。」
 
はて、どうしようか。
話を聞くとは言ったけれど叶えてやるとは言っていない。
僅かな好奇心が刺激されただけであって、この少年の願いなどどうでもいいことだ。
たった一週間通っただけで僕の信用を勝ち得ただなんて勘違いしないでほしい。
そんな冷えた小石が心の中に投げ込まれると、スザクはニヤリと笑った。
 
「何でもするって言ったよね。じゃあさ、君、お百度参りって知ってる?」
 
顔を上げた少年はその貧しい出で立ちとは反対に賢そうな目で頷いた。
 
「本来のお百度とはちょっと違うけど、君が一日も休むことなく、僕のところに百日お参りにきたら聞いてあげるかもしれないよ。」
 
あくまでスザクの気分次第なので、叶えるとは言ってやらない。
一応は神の端くれなのだから、言霊は大切にする。
そんなスザクの意地の悪い思いなど必死な少年は気づくはずもなく、再び頭を下げた。
 
「かしこまりました。必ず百日間貴方様のもとへ参ります。」
 
その真摯な声はスザクの胸の奥底まで届いたが、スザクはその感覚が気持ち悪くて仕方がなかった。どうせこいつも裏切るくせに。
これ以上頭を下げる少年を見ていたくなくて、結果を強くして祠の外へと弾き飛ばした。
 
「また明日きます。今日は失礼をいたしまして、誠に申し訳ありませんでした。」
 
乱暴な扱いに文句一つ言わず、一層激しくなった雨の中、少年は帰っていった。
 
 

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