オフ本を読んで下さった方はお分かりになると思うのですが、本当は七夕は「星」が関係しているので「目蓋」で番外編SSとして書こうと思ったのですが、今日は双子にしてみました。
普段テレビを見ないともきですが、水曜日は何となく見てしまいます。
さっき見ていた番組でやっていた、デンマーク皇太子のロイヤルウエディングのお話をスザルル変換して見ていたら胸が熱くなりました(←)
まだお出掛け編が終わっていませんが(汗)
・鏡合わせの皇子と玩具騎士 七夕編1
ゼロルル+スザク
鏡合わせの皇子という二つ名を持つ美麗な双子皇子、ゼロ・ヴィ・ブリタニアとルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの玩具、もとい騎士である枢木スザクは、数日前何気なく母国語で呟いた。
『もう7月なんだ。早いなぁ。』
双子のスケジュール管理を担っているため、手帳を見ながらブツブツと一人ごとを言っていたスザクは、ソファーの上でピタリと密着しながら隣国から取り寄せた極上のチョコレートをお互いの桜色の唇に運びあっている鏡合わせの皇子達がまさか自分の呟きを聞いているとは、ましてや極東のエリアの言葉を理解しているとはこれっぽっちも思わずに更に呟いた。
『っていうかあとちょっとで七夕じゃん。短冊も昔はよく書いたなぁ。懐かしい。』
カリカリとペンで手帳に予定を書き込んでいるスザクは気が付かなかった。
チョコレートを持つ手を止めて、ピクリと白い耳を全く同じタイミングで動かした双子が違いのない瞳をきょとんとさせ、次の瞬間にやりと1ミリのズレもなく同じ角度で口角を上げたことに。
鏡合わせの皇子達は、その姿は奇跡のように美しく全くもって無害なように見えるが、そう思うのは美しい薔薇に棘があることを見ないふりをするように、都合のよい幻想だ。
そしてこの華奢な皇子達は現代の女性と比べればよほどか弱く、無力なようにも見えるが、それも見る者が勝手に作り上げる幻想と言っていいだろう。
なぜならこの双子には『絶対領域』のようなものがあり、二人でいればその空間は双子にとって無敵の空間になるのだ。不可解な現象ではあるが、要はこの双子は一人一人の能力は元から高く、それが二人でいることによって何倍にも増幅するということなのだろう。
不可思議な二人の能力は第二皇子シュナイゼルを始め、有力な皇子や皇女、それに滅多に人間と関わらないと言われている緑の魔女さえも引き寄せる甘い蜜のようなもの。
それはこの魑魅魍魎が住まう王宮においては一見良いことのようにも思えるのだが、玩具騎士こと枢木スザクにとっては『やっかい』の一言に尽きることだろう。
(ジノ・ヴァインベルグ著:「鏡合わせの皇子と玩具騎士 タナバタ騒動」より一部抜粋)
鏡合わせの皇子と玩具騎士 七夕編1
7月7日、スザクはいつものように与えられた宿舎の自室で目覚まし時計により目覚める予定だったのだが、しかし何か頬にサワサワと当たるものがあり、その不快感で目が覚めた。
「んっ。なんか突き刺さる・・・。」
寝ぼけ眼でその『何か』を手で振り払うが、いくら振り払ってもまた戻ってくる。
一体なんなのだと、数分格闘した後、ようやくスザクは眼を開けた。
その翠色の瞳に映ったのは・・・。
「はっ・・・?」
驚きのあまりベッドから身を起そうとしたのだが、ワサワサと一文の隙もなく生い茂る『それ』のおかげで起きあがることも難しい。
「な、何コレ・・・?笹・・・!?」
手前にある一枚の葉を手に取り、茫然と言葉が零れ落ちてくる。
確かにそれは見覚えがある笹の葉であり、部屋を見渡すとびっしりと笹の木が植えられているのだ。
しかもご丁寧にもフローリングだった床が土になっていて、ちょっとした高級温室のようだ。
「これは一体、どういうことなんだ・・・。」
昨日の夜は何もなかった。
確かに何の変哲もない、些か殺風景な部屋だったはずだ。
間違ってもこんなパンダが大喜びしそうな笹部屋ではなかった。
スザクにはこんなことをする人物に心当りがあった。
というよりもやたらと手の込んだこんな馬鹿げたことを大真面目にやる人物は、スザクの知る限り二人しかいない。
ブラックリストぎりぎりの所に連ねられている名前を持つのは、スザクが生涯の忠誠を誓った主達、ゼロとルルーシュだった。
後編へ続く