でもお話って無理に書くものじゃないなぁということはこの一年で学んだことの一つですので、まったりかつ気まぐれなともきに寛大なお心でお付き合い頂けるととても助かります(>_<)
今日もいいお天気でした(*^_^*)
蜃気楼(黒い自転車)は絶好調。
夏の匂いがして、仄かに冷たい風と強い日差しにふと小学生の頃のプールの時間を思い出しました。ともき体育は数学よりも嫌いだったので特に楽しい思い出はないのですが、何故か急にひんやりとした水の感触とあのプール独特の塩素の匂いが蘇りました。
夏ですね^^
余談はこれまでにして!
スザクとルル猫シリーズ
初夏編 前編
スザクさんがルル猫を愛しすぎて若干気持ち悪いのは諦めて下さい(←)
では、どうぞ!
昨日まではどんよりと重たい灰色の雲に覆われて泣いてばかりだった空は、ぐずっていた子どもが飴玉を貰って笑ったように急にご機嫌になり、今日は朝から青い空が広がっている。
試験最終日だったため午前中で学校が終わったスザクは、ようやく勉強から解放され軽やかになった心のままに、ルルーシュが待つ我が家へと駆けていった。
スザクとルル猫 初夏編 前編
「ルルーシュ~。ただいま~。」
玄関を開けてまず呼ぶのは可愛い可愛い愛猫の名前。
廊下を水拭きしていた家政婦に笑われたが、そんなものはスザクの耳には届かない。
耳を澄ませながら靴を脱いでいると、テテっと小さな黒猫は背後にやってきた。そして「ご苦労さま」とねぎらうようにスザクの汗が滲むシャツを真っ黒な自慢の尻尾でテシテシと軽く叩く。
その柔らかな感触に、スザクの顔はデレリと非常にだらしなく溶ける。
「ただいま。」
ルルーシュに向き直りもう一度挨拶をしてから、艶やかな肢体を抱き上げ頬ずりをする。
ぎゅむぎゅむと欲望のままに抱きしめていると、「暑苦しい!!」と猫パンチと言う名の抗議を受けた。
猫のくせにあまり運動神経のよくないルルーシュだが、スザクと暮らすようになってからもう数えきれないほど繰り返しているため、始めはへろへろだった猫パンチもなかなか様になり、今では綺麗な右ストレートへと進化している。
しかし。
「ルルーシュは日々成長しているんだね!昨日よりも痛いよ!凄いね!」
スザクには全く、一切効いていなかった。
せっかく渾身の力を込めたのに・・・と項垂れたいような気持ちと、それでもニコニコとした嬉しそうな笑顔で褒められると嬉しいような気持ちがない交ぜになり、結果としてルルーシュはふんっと顔を反らしたが、隠しきれない想いを表すように白く細い髭がピンと立った。
そんなルルーシュをデレデレとしながら丁重に抱き上げて部屋に向かう。
部屋に一歩踏み入れた瞬間、ひんやりと全身を包む冷気にスザクは眉を顰めた。
「ルルーシュ、ダメでしょう?暑いのはわかるけどさ、こんなに部屋を寒くさせたらダメだって言ってるじゃないか。設定温度は27度だってこの間決めたじゃないか。忘れたの?」
にゃ、にゃ~ん!!
(う、うるさい!暑いものは暑いんだ!!)
「そんなに可愛く啼いてもダメ!ああ、もう!23度!?低すぎだよ!ロイド先生にも言われたでしょ?ブリタニア種は確かに暑さには弱いけど、冷たくしすぎると体調壊すって。」
床に置かれていたクーラーのリモコンは朝スザクが27度に設定していたのに、画面には23度/強風と表示されている。
賢い黒猫はこうして勝手に部屋の温度を自分好みに変えてしまうのだ。
動かぬ証拠とばかりにリモコンをルルーシュの鼻先に持っていき見せつけると、機嫌悪そうに紫色の瞳が細められた。
にゃん!にゃ!
(お前もこの毛皮をしょってみればいいんだ!どれだけ暑いか思い知るがいい!!)
つーんと顔を背けたルルーシュに、スザクは持っていたリモコンをテーブルに置いて、しゃがみ込んで目を合わせた。
「お願い、ルルーシュ。君が風邪なんてひいて辛い思いをするのは嫌なんだ。僕が辛いんだよ。」
だから言うことを聞いて、お願いだから。
この黒猫は実に変わっていて、「君の体が心配なんだ」だけでは決して言うことをきいてくれない。彼の気持ちを動かすにはスザクはスザク自身を人質にしなければいけないのだ。
「『僕が』辛い」と言ってようやく渋々ながら頷いてくれるのだ。
そのことを学んだスザクは今回も自分を盾にして、ルルーシュを説得する。
スザクのハの字に下がった眉と、大きな翠色の瞳が困ったように瞬きを繰り返すのを横目で見ていたルルーシュは、やっぱり仕方ないと頷いてくれた。
後編へ続く。
何があったんだい・・・?