携帯の方にはポカン(゜_゜)な長編「SIGH」14話 です。
メインのお話をこちらでの更新にしたわけは、今はちょっと編集する余裕がないのと、メインの方だと一話が長いので完成させるまでにとても時間がかかってしまいます。「SIGN」はやたらとのんびり更新なのですが、これ以上お待たせしてしまうのはどうなのかなと思い、落ち着くまで少しづつでもこちらでUPさせて頂こうと思いました。
ともきは更新を停止してしまったサイト様のお話とかでも「つ、続きを~!!筋書きだけでもいいから教えてくれ~。」と縋りたくなってしまうタイプ(やっかい)ですので、読み手になった時、少しでもお話が進んで欲しいんですよね。
という個人的な好みの問題なのですが^_^;
できれば15話以降はメインに戻したいですが、とりあえず14話はこちらで。
中途半端なのは嫌いよ!という方はメインに収納するまでお待ち頂けると助かります。
・長編「SIGN」 14-1
・士官生スザク×声を失った皇子
でもスザクさんはあんまり出てこなく、むしろ途中まではカレルル風。
もちろん最終的にはスザルル(^o^)/
こんな中途半端な感じでも読んでやんよ!という方はどうぞ。
SIGH 14-1
車のドアをカレンが閉めようとした時、僅かに開いたドアの隙間を潜ってヒラリと何かが車の中に乗り込んできた。
「ゼロ!?」
カレンが驚きの声を上げた時にはすでに黒猫はルルーシュ皇子の膝の上で丸くなっていた。
「今日は姿が見えないと思っていたら、もしかして外で待っていたの?」
賢い、と感心したように唸ったカレンは突然響いた涼やかな鈴の音にパッと顔を上げた。
リンリン。
「え?何ですか?」
二回の鈴の音が示すのは拒否の意。
皇子の意図を確かめようと顔を見ると、ルルーシュ皇子は困ったように眉を寄せている。
「え~っと。」
初めの頃は障害がある皇子との生活に戸惑っていたのだが、最近ではミレイと三人で過ごす時間に慣れ、皇子とも普通に会話をしているような気になっていた。しかし実際は声を失った皇子の通訳をしてくれる人がいないと彼の意思を汲んでやることができないことをカレンは痛感させられた。
皇子はすぐにカレンの困惑に気が付いたらしく、スラックスのポケットからメモ帳を取り出しサラサラと万年筆を走らせた。
書き終わると、一枚を破りカレンに差し出す。
『ゼロは連れていけない。部屋に戻してきてくれ。』
流麗な文字を読んだカレンは首を傾げたが、今から行く所は軍の施設なのだから猫など連れていけないのは当然かと納得し、素直に頷いた。
「あなたはお留守番。行きましょう、ゼロ。」
ゼロを抱き上げようとしたのだが、ゼロは皇子以外の人に触られるのは気に入らないとカレンを威嚇するばかり。
「あんた、性格悪いわよ!言うこと聞きなさいよ!」
ルルーシュ皇子にはにゃあんと恋人に甘えるような声を出す癖に、自分には歯をむき出しにして唸ってくることにカチンときて、つい地が出てしまった。
それを聞いていた皇子は面白そうに瞳を瞬かせて、そのことに気が付いたカレンは顔を真っ赤にした。
声が出ないということもあるのだが、この物静かな皇子の前でこんな醜態を晒すなんて!と余計ゼロを恨めしく思ったが、優雅な黒い肢体と知性が宿る高貴な紫色の瞳を見てしまうとどうにも頬が緩んでしまうのだから、結局カレンもこの黒猫のことが好きなのだ。
カレンとゼロの攻防を見ていたルルーシュ皇子はふとゼロと目を合わせるようにしなやかな肢体を白い手で持ち上げると、言い聞かせるように口を開いた。もちろん声は出なかったが。
『いい子だから、待っていてくれ。お前にまで何かあったら――――のように――――――だから――――。まだ――――で、すまない。』
カレンは皇子の口の動きから大体何を言っているのかわかったが、長い文章までは読みとれない。
しかしゼロは全てを理解したように、ふむと賢く頷くと再びヒラリと車から出て行った。
呆気に取られて茫然と黒猫の後ろ姿を見ていたカレンは、リンと鳴った鈴の音で我に返り、僅かに顔を赤くしたままようやく車に乗り込んだのだった。
「そして特派に向かいました。」
息をつくため一端そこで言葉を切ると、目の前のシュナイゼルは複雑そうな色を切れ長の瞳に浮かべていた。しかしその正体が何であるかを探らせるような宰相ではなく、一瞬にしてその色は怜悧な紫色の瞳に溶けていった。
「まあここまでは特筆したものはなさそうだね。いや、ゼロを連れて行かなかったということはこの時点で何か予兆はあったのかもしれない。」
「ここ最近は元気でいらっしゃったから、つい大丈夫だろうと妙に安心してしまっていた私のミスです。まだルルーシュ殿下は無防備に外に出ていけるほど回復なさっていないのに・・・。」
普段の元気いっぱいな様子が嘘のように肩を落とすミレイをチラリと見遣るとシュナイゼルは、再びカレンを射抜くように真っすぐ見つめた。
「特派に着いてからの行動を教えてくれるかな?」
「はい。」