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ルルへの愛を語ったり 日々のことを綴るともきの日記
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色んなことがあるけれど、人生ってきっとそんなものよね。

たくさんの拍手&本の感想、到着のご報告、本当にありがとうございます(*^_^*)
色んなことがある毎日だけど、また頑張ろうって思えるのは皆様のおかげです。


いつも皆さんにたくさんの気持ちを頂いているから、ともきもお話を通して何か愛とか勇気とか、何でもいいや、元気になれるような何かをお返しできたらいいなぁと思います。

みんな、頑張ろう!


というわけで(?)

「皇子と騎士犬 梅雨編 後編」です(^o^)/

3500文字超えているのですが(長すぎ)、昨日のお話で「前編」と書いてしまったのでOrz
本当は毎日更新するなら1000文字くらいがベストだと思うのですが、一気に進めてしまえ~ということでお許し下さい<(_ _)>






「雨ばかりだからお前は退屈なんだな。」

ぺったんこになってしまった小さな頭を撫でてやれば、そうだそうだと頷かれた。
連日降り続ける雨に外で遊ぶことが大好きなスザクはすっかり参っていたのだ。

「仕方ない。俺が散歩に連れていってやるよ。」

今までは雨に日に限らず、ずっと部屋に閉じこもっていたルルーシュだったが、スザクが来てからは少しずつ外に出るようになっていた。
外と言っても離宮の庭が限界なのだが、今までのことを考えれば大きな変化だ。

スザクを庭で待つように言って、侍女に傘を持ってくるように頼む。
暫くもしないうちに傘が用意されたが、そういえば今まで自分で傘をさすことなどしたことがなかったのでどうやって開けばいいのかわからない。

「こうか?」

ぶつぶつ言いながら傘を振りまわしてみるが、一向に開かない。
さてどうしようと思案していると、ドタドタと騒がしい足音と共にバタンとドアを開けられた。

「殿下!!あの馬鹿犬はどこに!?っというよりも何をしていらっしゃるのです!?」

いちいち声が大きいジェレミアにルルーシュは大袈裟に耳を塞いでみせた。

「煩いぞ、オレンジ。」

「はっ!!失礼致しました!!」

一瞬で顔を蒼褪めさせ、ばっと膝を床に着いたジェレミアに呆れ混じりの吐息と淡い笑みを混ぜたルルーシュはまあいいと声をかけた。

「馬鹿犬など知らないが、スザクなら窓の外で待っている。今から散歩に行くから、お前もついて来い。二人だけで出るなと兄上からも言われているしな。」

「散歩ですか?しかし今は小雨と言えども、雨が降っております故、足元が危ないです。後日に致しましょう。馬鹿い・・・スザクのことなどどうとでもなりましょう。殿下の安全が一番でございます。」

「俺が行きたいんだ。・・・それでもお前は口を出すのか?」

軽い脅しとも取れる発言にジェレミアははっと口を噤んだが、窓の方に厳しい視線をやることは忘れない。

「とんでもございません。殿下のお心のままに。」

「ならいい。では行くぞ。」

「はっ。」

神妙な顔つきをしたジェレミアを従え庭に出たルルーシュは、そういえば傘をささねば、と思ったがやはり開け方がわからなかった。
しかし開け方がわからないなどと申告することは博識で名を馳せるルルーシュのプライドが許さない。
むすっと唇をへの字の曲げたルルーシュが無言でジェレミアに傘を渡そうとした時、足元にやってきたスザクが催促するようにルルーシュのスラックスの裾を引っ張った。

「わかった、わかった。今行くから。」

柔らかく苦笑するルルーシュの傍らでは鬼の形相をしたジェレミアがスザクの首にリードを付ける。
カチリと金具が止められる音を聞いたルルーシュは手渡されたリードをしっかりと持ち、反対の手で傘をジェレミアに押しつけるとさっさと歩きだした。

「で、殿下!?」

サアサアと細かく霧のように降る雨の中、無邪気に尻尾を振るスザクを連れて歩き出した主にジェレミアは大急ぎで傘を開くと、後ろから主の頭上を覆った。

「殿下!!雨に濡れて風邪などお召しになったらシュナイゼル殿下に何と言われることか!もう少しご自分のお身体を大切になさって下さい。」

ジェレミアがこの世の終わりのように嘆いたが、前を行くルルーシュは足を止めることなくスザクにひっぱられるままに歩いていってしまう。
これ以上は不敬になると仕方なくジェレミアは黙って従った。




皇子と騎士 梅雨編 後編




「雨がこんなにも優しいことを、俺は知らなかった。」

しばらくすると雨の音と同化するような静かな声がジェレミアの鼓膜を震わせた。

「?」

あまりにも突然の言葉に軍人の固い頭は付いていくことができず、ジェレミアは何も言えずに眉を寄せることしかできなかった。

「水溜りに足を入れるとこんな音がすることを知らなかった。濡れた土がこんなにも柔らかいことを今まで知らなかった。肌を打つ雨の冷たさも、湿気を含んだ風の感触も、何も知らなかったんだ。」

何も映すことのない紫色の視線の先には、るんるんと尻尾を振りながら体中を泥だらけにして楽しげに地面を歩くスザクの姿。

「本を読むだけじゃわからないこと、部屋に閉じこもっていては知ることのできないこと、昔はナナリーや母上が教えてくれた。・・・今はスザクが教えてくれる。スザクがお前達が望むような賢い犬ならば、きっと今俺はいつものように部屋の中で本を読んでいただろう。
それもいいかもしれない。安全で不変の世界でひっそりと息をし続ける。スザクと出逢う前の俺ならばそれがべストな生き方だろう。でも俺は変わった、いや、変わろうと決めたんだ。・・・・・正直に生きていくことは、ありのままに生きていくことは、お前達からすれば酷く滑稽で、不器用で、馬鹿馬鹿しいことかもしれない。スザクのようにしたいことをして、難しいことなど何も考えずに生きていくことは、迷惑なだけかもしれない。でも俺はそんなスザクを羨ましいとさえ思うんだ。誰もが敬遠する鬱陶しい雨の中を楽しげに駆けまわることのできるスザクを、・・・愛おしく思うんだ。」

「ルルーシュ様・・・。」

普段は滅多に自分のことなど吐露しないルルーシュ。
何でも内側に溜めてしまう主の珍しい告白に、ジェレミアはうっかり目元が熱くなった。
マリアンヌ皇妃が亡くなる前からずっと傍に仕えてきたが、ようやく信頼してもらえたような気がしたのだ。

「俺の我が儘でお前に迷惑をかけていることはわかっている。スザクと気性が合わないことも、たかが犬の面倒をすることがお前の仕事ではないことも承知している。でも・・・。」

そこで戸惑うように一端切ったルルーシュはくるりと振り返ると、ジェレミアを見つめた。
見えない瞳では僅かに視線がずれているが、そんなことは些細なことだった。
真剣な紫色の双眸は、一歩を踏み出そうと強い光を湛えていた。


「でも。スザクはもう俺の家族なんだ。だから。・・・・甘えてもいいだろうか・・・?」


一体何を言いだすのだろう。
今まで何年も仕えてきたのだ。
今さら犬ごときにうろたえる自分ではない。
そもそも皇子なのだから、命令一つで済むことなのに。
まったく。まったく、だからこの主は愛おしくたまらないのだ。
強がりで、弱くて、大人びているのに、どこか幼く、何より優しい我が自慢の主。


「もちろんでござい・・・」

わんわん!!


ジェレミアが熱い忠誠を誓おうと言葉を紡いでいたのを、遠慮なくぶったぎったのはもちろんスザク。
空気?何それ、美味しいの?と嫌味でなく無邪気に聞いてきそうなスザクの輝く翠色の瞳にがっくりとしたジェレミアだった。
せっかくの感動的な場面だったのに・・・。

「ごめん、ごめん。お前を仲間外れにしていたわけじゃないんだぞ。むしろお前の話をしていたんだ。」

そうなの?と首を傾げたスザクはすぐに、「そんなのどうでもいいから、遊んで!」というようにルルーシュの胸に飛びついた。

「ほわあああ!!」

ぬかるむ地面に足をとられ、容赦ないスザクの勢いに押されルルーシュは盛大に尻もちを着いた。ジェレミアは何をしていたのかというと、もう二度とないかもしれない大事な場面が失敗に終わったことを悔やんで地面を叩いていたので、全く役に立たなかった。

 
バシャンっ!!!


ちょうど後ろにあった大きな水溜りに体を突っ込んで、きょとんとしたスザクを胸に抱えたルルーシュは頭からつま先まで泥だらけになった。

こんなことは生まれて初めてで、茫然と泥にまみれた手のひらを開いては閉じるを繰り返していたルルーシュは、スザクにペロリとかろうじて残った白い頬を舐められ我に返った。

「っくく・・・。あはははは!!」

泥だらけの皇子なんて聞いたことがない。
ついでに言うと人を押し倒す子犬の話も聞いたことがない。
何て馬鹿馬鹿しいのだろう。
でも、これでいいじゃないか。
だって、生きているのだから。
馬鹿馬鹿しくて笑うくらいでちょうどいいじゃないか。


清々とお腹の底から笑うルルーシュの声は楽しげに辺りに響き渡り、スザクは「何?何かいいことあった?」と笑い声に釣られて嬉しげにルルーシュの頬を舐め、そのくすぐったさでまた笑いが零れる。



人の気配など感じさせないくらいに静まり返っていたアリエス離宮はここ最近になって様々な音が溢れるようになってきた。
それはお皿が割れるような音だったり、侍女の悲鳴だったり、ジェレミア卿の怒号だったり、慌ただしい足音だったり、そして・・・。



「おや?何やら楽しそうな声が聞こえてくると思ったら、私の可愛い弟が茶色く染まっているよ。これはどうしたものかね、カノン?」


側近を連れて現れた兄皇子シュナイゼルは、くすくすと可笑しげに笑いを零す。
和やかな二人と一匹の様子を見ていたジェレミアもふっと笑った。

そう、最近のアリエス離宮は少々騒がしい。
けれど、マリアンヌ皇妃亡き後どんなに願っても聞くことのできなかった主の笑い声が響くのならば、それはきっと良い方向へ進んでいる証なのだろう。


「ジェレミア、タオルをくれ!スザクが風邪をひいてしまう。」

「ルルーシュ様。・・・スザクよりも貴方様が先ですよ。」


それならば。
泥だらけの主にふかふかのタオルを差し出す。
こんな雨の日も悪くないのかもしれない。

 

その眼に見えない大切なものを見せよう
あなたと出逢って流れ出したこのメロディー
震えている今この時を生きてる



 

皇子と騎士犬 梅雨編
THE END

 




梅雨編は別名「オレンジ攻略編」ですね(笑)
AGO兄上の次はオレンジでした。
まだまだ『騎士』犬になれていない子犬スザク。
でも十分救いになってるよ!
今回の更新はコメントで騎士犬を応援して下さるとのコメントを頂けたのでv
皆様、楽しんで頂けましたでしょうか(*^_^*)?

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ともき
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自己紹介:
・ルル/ー/シュ至上
・ルル/ー/シュ中毒
・一人でいる時はほとんど音楽を聴いています。
・海外に行くのが大好き。
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